米DOE 先進試験炉のための燃料製造プログラムを発表
29 Jul 2025
米エネルギー省(DOE)は7月15日、先進試験炉向けの燃料製造を加速するたため、燃料製造ラインのパイロットプログラム(Fuel Line Pilot Program)への申請の募集(RFA)を開始した。
同プログラム下では、6月に発表された先進炉のパイロットプログラムによりDOEが承認を予定している試験炉向けに、米企業が開発した燃料製造ラインをDOEが認可するもの。この燃料製造ラインは、燃料を供給する先進炉と同様にDOEの国立研究所以外に建設され、DOEが迅速な承認手続きによって認可する。DOEは現在、国立研究所以外で試験炉を建設・運転することに関心のある米国の原子炉開発企業からの申請を検討中であり、2026年7月4日までに臨界を達成する可能性のある、少なくとも3炉型を今夏後半に選定する予定。
この先進炉および燃料製造ラインのパイロットプログラムは、2025年5月のトランプ大統領による大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」に基づく。燃料製造ラインのパイロットプログラムは、別の大統領令「国家安全保障強化のための先進原子炉技術の導入」により、先進原子炉の展開への支援のほか、燃料供給体制の強化をはかり、濃縮ウランや重要資源の海外依存からの脱却、国の原子力復興に向けた民間投資の呼び込みなどを目的としている。
DOEパイロットプログラムの下で建設・運用される燃料製造ラインは、研究・開発・実証を目的としており、米原子力規制委員会(NRC)のライセンスを必要としない。原子力法の下でDOEが認可した燃料製造ライン設計は、将来のNRCによる商用ライセンス取得において迅速に処理される。申請者にとっては、DOEから認可を受けることで、民間資金の活用を促進し、将来的なNRCからのライセンス取得に向けた迅速なルートを確保、燃料製造ラインの商用化が可能になるというメリットがある。
DOEによると、米国では現在、予測される需要を満たすのに十分な国内原子燃料が不足している。DOEは、燃料製造ラインの開発を活性化し、米国の生産基盤の立て直しを急いでいる。DOEのC. ライト長官は「米国には、世界をリードする原子力開発のためのリソースとノウハウがある。しかし、この急成長するエネルギー源に対応し、真の原子力復興を実現するには、安全かつ安定した国内サプライチェーンが必要。トランプ政権は規制ではなく革新を加速し、民間セクターとの協力により、新しい原子炉設計の安全な燃料供給と試験を推進して、米国消費者にとり、より信頼性が高く、手頃なエネルギーを実現する」と語った。
申請者は、核物質の原材料の調達の他、先進的な燃料製造ラインの設計・製造・建設・運転・廃止措置に関するすべてのコストを自己負担。技術の実用性、製造計画、財政的な健全性などに基づき、選定される。初期申請の締切は8月15日。その後の申請も随時受け付けるという。