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露ビリビノ発電所 今年末までに全基を永久閉鎖へ

16 Dec 2025

桜井久子

ビリビノ発電所 Ⓒ Bilibino NPP

ロシア極北のチュクチ自治管区にあるビリビノ発電所2号機(軽水冷却黒鉛減速炉RBMK=EGP-61.2kWe)が123日、閉鎖した。残る同型の3-4号機も年末までに閉鎖する予定。1号機(EGP-61.2kWe)は2019年に閉鎖済みで、使用済み燃料は炉心から冷却プールに取出し済みである。

同発電所のA. クズネツォフ主任技師によると、廃止措置の段階は約8年続くと想定され、まずは、連邦環境・技術・原子力監督庁(ロステフナゾル)から廃止措置の認可を取得することから始まる。使用済み燃料の取出し(約2年)、機器・構造物の解体、廃棄物の処理など、全てで数十年かかる作業を行い、2054年頃にはサイト全体で復旧作業を始めるという。

ビリビノ発電所の各機は、1974年~1977年にかけて営業運転を開始し、半世紀にわたって永久凍土地帯で運転を続けてきたロシア独自の原子炉。合計190炉年以上稼働し、116kWh以上の電力を供給するとともに、周辺地域への熱供給も行ってきた。発電量は、統一電力システムから孤立したチャウンビリビノ電力システム内の総発電量の80%を占めていた。 現在、チュクチ自治管区のペベクでは、世界初で唯一の海上浮揚式原子力発電所であるアカデミック・ロモノソフ号(KLT-40S、各3.5kWe×2基、50Gcal/h)が2020年5月から営業運転中で、近隣地域に電気と熱を供給。ビリビノ発電所の閉鎖後、電熱供給の代替発電所となる。

極北における廃止措置プロセスは、建設プロセスに匹敵するほど複雑になることが予想される。ロシアにはまだ複数基を同時に閉鎖した発電所はなく、ビリビノ発電所での経験は業界でもユニークなものになると関係者は指摘している。

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