フィンランド 最終処分場のレビュー期限を再度延長
19 Dec 2025
フィンランド雇用経済省は12月4日、同国の放射線・原子力安全庁(STUK)に対し、世界初となる使用済み燃料の深地層処分場の操業許可を求めるポシバ社の申請に対する審査完了期限の3回目の延長を承認した。STUKの意見書は、2026年6月末までに提出される見込み。
ポシバ社は2021年12月、オルキルオトに建設中の地上の使用済み燃料封入プラントと地下の最終処分施設の操業許可を雇用経済省に申請した。処分施設は当初、2020年代半ばに操業開始を予定し、ポシバ社は2024年3月から2070年末までの操業許可を求めていた。
操業許可の最終的な判断は政府が下すが、STUKの意見が許可の付与を支持する場合のみ許可される。STUKは2022年5月に審査を開始。当初、雇用経済省は2023年末までにSTUKの見解を求めていたが、2024年1月、STUKは2024年末まで意見書提出の延長を要請。その後、同年12月にも審査の遅延のため、同省は期限を2025年12月末まで延長した。今回、再度STUKの要請を受け、期限を2026年6月末まで延期している。STUKは、申請書類の大半を受取り承認しているが、ポシバ社が更新した最新資料についてさらなる説明を求めており、2026年初めに回答を得る予定だとしている。その評価を終えるまで、意見書を提出することはできず、6月末までの期限は可能ではあるものの、STUKとポシバ社双方にとって厳しいものであるとの認識を示した。
審査は最終段階にあるが、予想以上に長期化している。STUKは遅延の一因として、ポシバ社が最終処分システムに加えた変更と、これら変更の影響を正当化し、安全要件を満たしていることを証明しなければならなかったためと説明。さらに、長期的な安全性の実証にいまだ不確実性がある、と指摘している。
一方で、長期的な安全性を証明することは非常に困難な作業であり、本プロジェクトは世界的に前例もなく、審査には時間がかかり、細心の注意と専門知識が必要であると強調。使用済み燃料の最終処分の長期的な安全性とは、少なくとも数万年にわたる期間を指すが、特に、放射性物質の拡散を防ぐ役割を果たす粘土素材の機能性の実証がいまだ進行中であるという。ポシバ社は当初計画されていた粘土素材を別のものに置き換えており、STUKはこの新素材が最終処分の長期的な処分の安全性に与える影響を評価する必要があるとし、安全要件、安全性の根拠に関する詳細な分析を満たす最終安全報告書を受理するまで、操業許可申請の安全性評価を実施しないとしている。
政府は2015年11月にポシバ社に最終処分場の建設許可を発給、2016年12月に総工費約5億ユーロの建設工事が開始された。操業許可が発給されれば、フィンランドで原子力発電所を運転するティオリスーデン・ボイマ社(TVO)のオルキルオト原子力発電所とフォータム社のロビーサ原子力発電所から発生した使用済み燃料の処分を開始する。同処分場は、2120年代までの100年間の操業を見込んでいる。





