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NASA  原子力宇宙船の2028年打ち上げ計画を発表

08 Apr 2026

佐藤敦子

無人探査機「スカイフォール」のイメージ
(NASA公式X動画より)

米航空宇宙局(NASA)は324日、今後の宇宙開発計画に関する施策を発表し、原子力推進宇宙船を2028年末に打ち上げる方針を示した。将来的な火星探査など深宇宙ミッションを見据え、長距離輸送能力の強化を図る。

同計画は、NASAが打ち出した一連の施策の一環。米エネルギー省(DOE)と連携し、原子力電気推進(NEP)を採用する惑星間宇宙船「スペース・リアクター1SR-1)フリーダム」を、2028年末までの打ち上げを目指し開発する。機体には小型原子炉を搭載し、発電した電力により推進装置を動かす。従来の化学推進に比べ、長期間にわたり効率的な推進が可能となるほか、太陽光が弱い深宇宙環境においても、安定した電力供給が可能な点が特徴である。

SR-1フリーダムにはヘリコプター型の無人探査機「スカイフォール」を搭載する。火星到達後にこれを展開し、表面の観測・探査を実施する構想とされる。「SR-1」は探査機の長距離輸送を担い、現地での探査は無人機が担う構成とすることで、探査活動の効率化を図る。米専門メディア「SpaceNews」によると、原子炉の燃料にはHALEUを用い、数十kW級の発電能力が想定されている。

米国では、月面探査計画「アルテミス」を軸に宇宙開発が進められており、4月には有人月周回ミッションの打ち上げに成功するなど、探査活動は具体的な段階に移行しつつある。一方、火星を含む深宇宙探査に向けては、従来技術では輸送期間や搭載能力に制約があることが課題とされており、原子力の活用は長年検討が続けられてきた。計画はその実証に向けた取り組みとなる。

また、NASADOEは今年1月、月面における原子力電源の研究開発に向けた覚書(MOU)を締結しており、2030年までの実現を目標に協力を進める方針を示している。

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