三菱総研 2050年「原子力3割」に経済合理性
10 Aug 2026
三菱総合研究所(MRI)は7月31日、「日本社会に貢献しうる原子力の規模感とは? 原子炉の新増設実現への期待と課題(2)」と題したコラムを発表した。
今回のコラムでは、MRIが開発・保有するエネルギー経済モデル「MRI-TIMES」を使用し、2050年にカーボンニュートラルを達成することを前提として、日本の電源構成の試算を行った。原子力、火力、再生可能エネルギーのコストは、2024年に行われた発電コスト検証WGのモデルプラント諸元[1]プラントの運転・建設コストのモデルデータを参照して設定。次世代革新炉の導入は考慮しなかった。
その結果、2050年時点の総発電電力量における原子力の割合は、新設の導入上限量を設けなかったケースで34%、過去の日本の原子炉建設ペースを上限とした場合でも33%だった。
分析によると、この結果は、一定の前提条件の下、安定供給、経済効率性、環境適合性の各観点を踏まえれば、2050年に原子力が電源構成の3割を担うことが合理的な選択肢となり得ることを示唆しているという。ただし、その場合、必要となる原子力発電設備容量は5,800万kWに達し、既設炉の運転期間を60年と仮定した場合でも、120万kWの大型軽水炉の新増設が約28基分必要となる。
MRIはコラムの中で、原子力が日本の電源構成においてその役割を持続的に果たしていくためには、安全性を大前提としつつ、コスト競争力を維持・向上させることが求められるとし、そのカギとして、国内サプライチェーンの維持・強化を挙げた。サプライチェーンの弱体化は、海外依存度の上昇や工期の長期化を通じて建設・運転コストの上昇を招き、日本における原子力の経済合理性を損なうと強調。そのうえで、弱体化を防ぐためには、熟練技術者や技能者が現場に残っているうちに、国家ビジョンを明確にし、新規建設や海外輸出などへの方針を示すことで、技術・技能を継承していく必要があると指摘している。
脚注
| ↑1 | プラントの運転・建設コストのモデルデータ |
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