原子力産業新聞

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IAEA作業部会 放射性物質の輸送拒否低減へ 医療用RIへの影響を懸念

29 Sep 2026

桜井久子

© IAEA

国際原子力機関(IAEA)の輸送拒否に関する作業部会(Denial of Shipment Working Group, DoS WG)は9月16日、第70回IAEA通常総会に合わせ、「放射性物質の安全かつ確実な輸送の円滑化に関する白書(Facilitation of the Safe and Secure Transport of Radioactive Material)」を発表した。放射性物質の輸送の遅延・拒否の低減に向け、加盟国や国際機関などが取り組むべき対策をとりまとめた。国際・国内の規則に適合した放射性物質であっても、輸送事業者や港湾、空港などが輸送や取扱いを拒否する事例が続いており、特に短寿命の医療用放射性物質(RI)や放射性医薬品への影響を問題視している。

医療用RIの中には半減期が短く、製造後、速やかに医療機関などへ届ける必要があるものもある。白書は、輸送の遅延や拒否が、救命目的で使用される短寿命の医療用RI、とりわけ放射性医薬品の利用に影響を及ぼし、患者や事業者、加盟国に具体的な影響をもたらしていると指摘した。

白書はDoSの主な原因として、放射性物質の輸送に対する過度に否定的な認識、医療用放射性物質や社会的便益への理解不足、国ごとに異なる規制要件の複雑さや調整不足、保険や経済面での障壁、運送事業者の商業的判断、放射性物質を取り扱う港湾・空港や訓練を受けた人員の不足などを挙げた。その結果、サプライチェーンへの影響や輸送ルートの長期化、コストの増大、物流の不安定化を招き、特に医療用放射性物質では診断・治療への影響が生じていると指摘。さらに長時間の保管・輸送は安全・セキュリティ上のリスクや規制違反のリスクも高めるとしている。

こうした分析をふまえ、DoSの低減に向け、以下の8つの緩和策を提言している。

  1. 「放射性物質の安全かつ確実な輸送の円滑化に関する共同声明」への関心国の自発的な支持
  2. IAEAや産業界、関心国による各国窓口(National Focal Point=NFP)の持続的なネットワークの維持
  3. 各国の規制上の相違点をまとめた公開リストの作成・維持
  4. IAEA、IMO(国際海事機関)、ICAO(国際民間航空機関)、UNECE(国連欧州経済委員会)などの国際機関間との連携強化
  5. あらゆるレベルでのアウトリーチ活動の継続や関連ウェブページでの最新情報の提供を通じた、放射性物質への過度なリスク認識の改善
  6. 放射性物質の輸送に関する規制インフラが未整備または不十分な加盟国の能力強化
  7. 医療用放射性物質の輸送円滑化に向けた、物質・輸送物の国連分類の変更提案
  8. 訓練を受けたスタッフの配置を含め、放射性物質の輸送を取り扱える空港・港湾の確保

白書は、DoSを完全に解消することは困難としながらも、各国の継続的な政治的関与や規制の調和、適切な国内インフラの整備、NFPなど国内実施体制の強化や国際機関との連携により、その影響を大幅に低減できると指摘。IAEAや国際機関、産業界などによるこれまでの取組だけでは持続的な解決は難しいとして、今後は加盟国自身が主体的かつ継続的に取り組む必要性を強調した。

DoS WGは12月7~11日の最終会合までに、白書の勧告の実施を継続的に支援するため、安全・セキュリティを確保した国際輸送の円滑化に関する国際フォーラムの設置を提案する方針。

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