原子力産業新聞

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規制委、柏崎刈羽の核物質防護問題で中間取りまとめ

27 Apr 2022

柏崎刈羽の核物質防護問題に関し議論する原子力規制委員会委員(右より、田中委員、更田委員長、山中委員、伴委員、石渡委員、インターネット中継)

原子力規制委員会は4月27日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案に対する追加検査の中間取りまとめについて審議した。

同発電所で2020年以降に発生したIDカード不正使用および核物質防護設備の機能一部喪失について、規制委員会は2021年3月、東京電力に対し、(1)直接原因、(2)根本的な原因、(3)安全文化および核セキュリティ文化要素の劣化兆候――の特定、それを踏まえた改善措置活動の計画を報告するよう求め、合わせて約2,000人・時間を目安とする追加検査を行うことを決定。東京電力では、経営層の主体的関与のもと、本社・発電所が一体となった調査体制を敷くとともに、独立検証委員会による第三者評価を実施し、同年9月に一連の不適切事案に対する改善措置報告をまとめている。

原子力規制庁からの報告を受け、検査を担当する山中伸介委員は、「人の力に依存しない」高いレベルの核セキュリティの担保とそれに対する検査のあり方を検討していく必要性を強調。核セキュリティを担当する田中知委員は核物質防護管理者のスキル向上を課題としてあげ、組織文化の劣化を懸念する伴信彦委員は改善状況に対する客観的な評価に努めるべきとした。東京電力に対応を求める事項には、防護設備の経年化に伴う不具合頻発や悪天候による機能喪失も含まれ、誤報に関する原因分析や設置環境対策などが評価の視点となっている。自然ハザードに係る審査を担当する石渡明委員は、冬季の積雪・雷や砂塵など、柏崎刈羽原子力発電所の置かれる過酷な自然条件にも十分配慮した防護設備のメンテナンス・更新がなされているかも着実に確認すべきとした。

会合終了後の記者会見で、更田豊志委員長は、柏崎刈羽原子力発電所の原子力規制検査に係る対応区分の変更(法令により発出された是正措置命令に基づき「第4区分」から「第1区分」となる必要がある)に関し、自身の任期満了時期(2022年9月)にも言及しながら「年内に判断できれば」との見通しを示したほか、核セキュリティにおける機微情報を扱うが故の閉鎖性を懸念した上で、「社会、メディアとの間で良い緊張関係が築かれる必要がある」とも述べた。

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