原子力産業新聞

国内NEWS

西村経産相、今後のエネルギー政策に向け「S+3Eが大原則」と強調

26 Aug 2022

会見を行う西村経産相(インターネット中継)

西村康稔経済産業相は8月26日の閣議後記者会見で、「S+3E」(安全性、安定供給、経済性、環境への適合)を大原則とすることなど、今後のエネルギー政策に対する取組姿勢を改めて示した。

西村大臣は、24日に総理官邸で開催された経済・社会・産業構造の脱炭素化に向けた検討を行う「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、「日本のエネルギー安定供給の再構築」として、今後の再生可能エネルギーや原子力に係る政策の進め方を示している。

会見で、西村大臣は、「将来にわたってわが国のエネルギー安定供給に万全を期していくため、原子力を含め、あらゆる選択肢を確保していくことが重要」と強調。今後、関係の審議会で具体的な施策について議論を進めるに当たり、「開かれた形で専門家の意見も聴きながら検討を進めていくと同時に、国民の皆様にも理解を深めてもらえるよう、できる限り丁寧に分かりやすい形で説明していきたい」と述べた。

「GX実行会議」で示された今後の原子力政策の進め方では、2030年までの再稼働加速化について基数を明記した形で記載しているほか、次世代革新炉の開発・建設に関しても年末までに具体論を取りまとめるとされた。これに関し、西村大臣は、昨秋策定のエネルギー基本計画の掲げる「可能な限り原発依存度を低減」、「2030年に発電電力量の20~22%を目指す」ことなど、現在のエネルギー政策との整合性については「何ら矛盾しない」と明言。今後のエネルギー政策に向けて、「『S+3E』の大前提のもとで進めることに変わりはない」と、繰り返し強調した。

また、次世代革新炉の開発・建設の関連では、先般、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会が骨子案を示した革新炉開発の技術ロードマップに言及。ロードマップの中で、2030年代前半の製作・建設、同後半以降の運転開始など、商用炉の開発工程が示された革新軽水炉について、西村大臣は、「半地下型構造やシビアアクシデント対策となるコアキャッチャー(溶融炉心を保持・冷却する)など、研究開発の状況やサプライチェーンの製造能力といった様々な要素を勘案しながら議論を進めていく」と述べた。

かつて通商産業省(現経産省)の職員として、石油関連の施策の他、1992年にブラジル・リオデジャネイロで行われた国連環境開発会議「地球サミット」にも関わった西村大臣は、当時を振り返りながら、「エネルギー安定供給と気候変動への対応、この2つを両立せねばならない」と述べ、自身の経験を活かし今後の施策に取り組んでいく意気込みを示した。

cooperation