原子力産業新聞

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規制委 高経年化炉の安全規制で検討チーム始動

24 Feb 2023

原子力規制委員会・高経年化検討チーム初会合の模様(インターネット中継)

原子力規制委員会は2月22日、「高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チーム」の初会合を行った。

利用政策側(資源エネルギー庁)による運転期間見直しに向けた検討を踏まえ、同委では、昨秋からの議論の末、2月13日に高経年化炉に係る新たな安全規制の概要および関連の原子炉等規制法案を了承。運転開始後30年を超えて運転する場合、事業者に対し10年以内ごとに施設の劣化を管理するための「長期施設管理計画」の策定を義務付け、認可を受けなければ運転できないというもの。新制度の実施は関連法案の成立が前提だが、施行後の遅滞ない運用を図るべく同チームにおいて詳細な規則・ガイド類の整備に向け検討を行うこととなった。検討チームは、プラント審査を担当する杉山智之委員が中心となり、原子力規制庁職員らで構成。必要に応じ事業者からの意見聴取も行う。

初会合の冒頭、杉山委員は、「新しい制度にスムーズに移行するため、何を決めなければいけないか。どのように高経年化したプラントの安全を確保していくかを議論していきたい」と、口火を切った。同チームの新制度に係る検討事項として、原子力規制庁は、

  1. 基本的な枠組み
  2. 新たな技術的検討(運転開始後60年以降の評価など)
  3. わかりやすい情報発信手法(1か月程度で概要をまとめる)

――に大別。新制度においても、現行の劣化評価の技術的内容は運転開始後60年までは引き続き実施し、「40年+20年」の運転延長認可の際に実施されていた「特別点検」も同様に維持するとの原則を示した。

いわゆる「設計の古さ」に関して、原子力規制庁原子力規制技監の市村知也氏は、これまでの新規制基準適合性に係る審査対応を振り返り、事業者によるシビアアクシデント対策、材料の改善などの事例をあげ、劣化管理との関連性やバックフィット(既に許認可を受けた施設が新知見に基づく規制要求に適合することを確認する)による対応可否を整理することを示唆。原子炉安全工学の立場から、杉山委員は、「着工後、相当な時間が経っているがまだ運転に至っていない炉は今でも『ゼロ歳』と扱われている」などと、「一旦設置許可を受けた炉は差し当たり40年間の運転は保証される」という考え方に疑問を呈し、運転されない間に進む劣化も重要な観点であることを指摘した。

初会合には、杉山委員の他、田中知委員、伴信彦委員、石渡明委員が出席。自然ハザードに係る審査を担当する石渡委員は、海外における長期運転認可の状況に触れながら、サイト周辺の環境変化に関し「60年もたてば、洪水で川の流れが変わったり、田んぼの真ん中だったのが周りに家が建ち並んだり、ガラッと変わってくる」と述べ、今回の新制度設計における環境影響評価に係る観点の欠如を指摘した。

検討チームでは今後、作業の進捗を見ながら、月2、3回程度のペースで会合を開く予定。

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