原子力産業新聞

国内NEWS

柏崎刈羽の命令解除判断「5月初旬から中旬」

08 Mar 2023

会見を行う原子力規制委員会・山中委員長(インターネット中継)

原子力規制委員会の山中伸介委員長は3月8日の定例記者会見で、同日の定例会合で議題となった東京電力柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案を受け同社に対し実施している追加検査に関し、「5月初旬から中旬を目途に報告書の議論に入る」との見通しを示した。

核物質防護機能の一部喪失などの事案発生を受け、規制委員会は2021年3月に柏崎刈羽原子力発電所の規制上の対応区分を「第4区分」(事業者が行う安全活動に長期間にわたる、または重大な劣化がある状態)に変更。同4月、東京電力に対し、規制上の対応区分が「第1区分」(事業者の自律的な改善が見込める状態)に改善するまで、事実上、運転が不可能となる是正措置命令を発出。合わせて追加検査を開始した。現地には、昨年末以降、2023年2月までに、山中委員長他、4名の委員が視察に訪れており、3月3日には原子力規制庁の柏崎刈羽原子力発電所追加検査チームが小早川智明社長へのヒアリングを行っている。

会見で、山中委員長は、命令解除の可否に関し「公開の場で結論を出したい」と明言。検査で確認された課題として、ハード面では検知器の問題、ソフト面では協力会社も含めた気付き事項の取り上げや「改善措置を一過性にしない」仕組みが不十分なことを指摘し、現時点での命令解除は「なかなか難しい」との見通しを示した。追加検査は計3,300時間に及んでいるが、現在、関連法案が国会で審議中の「事業者が予見しがたい事由による停止期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外」とする規定の適用に関して問われたのに対し、山中委員長は「資源エネルギー庁が判断すること」と応えるに留めた。

cooperation