原子力産業新聞

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エネ庁 高速炉開発の中核企業選定に向け公募開始

15 Mar 2023

高速炉開発に関し実務レベルの検討を行う資源エネルギー庁の戦略ワーキンググループは3月14日、2024年以降に見込まれる高速炉の実証炉概念設計開始に向け、最有望となるナトリウム冷却高速炉について、その炉概念の仕様・中核企業を選定すべく4月中旬にかけ公募を実施することを決定した。〈資源エネルギー庁発表資料は こちら

同WGでは昨秋、今後の高速炉開発に関し、技術の絞り込みを段階的に行いつつ、実証炉の基本設計・許認可の開始につなげることができるよう、今夏に炉概念の仕様を選定、2024~28年度に実証炉の概念設計・研究開発、2028年頃に実証炉の基本設計・許認可手続きへの移行判断を行うとした戦略ロードマップの改訂案を提示。同案は昨年末、原子力関係閣僚会議で決定された。

14日のWG会合で資源エネルギー庁は、炉概念の仕様・中核企業選定に向けた公募に際し、評価の視点として、

 (1)技術の成熟度と必要な研究開発

 (2)実用化された際の市場性

 (3)具体的な開発体制の構築と国際的な連携体制

 (4)実用化する際の規制対応

 (5)事業成立性の見通しに関する総合的な評価

――を提示。特に、中核企業が備えるべき要件として、総合的なエンジニアリング能力、わが国産業全体のハブとなるべき実力・実績、サプライチェーンの維持・発展の政策目的に照らし具体的な方策や国内に閉じた技術基盤を持っているか、を強調した。

これに対し、日本原子力研究開発機構の板倉康洋副理事長は「高速炉の実用化に向けた大きな一歩と考える。その開発に全力で取り組んでいきたい」と、電気事業連合会原子力開発対策委員長の松村孝夫氏(関西電力副社長)は「実証炉の概念設計に向けて、その開発の核となる炉概念の仕様並びに中核企業の選定は非常に重要なプロセスと考える」と発言。それぞれ、実験炉「常陽」を活用した研究開発、実用化を見据えた経済性を含む開発要素の重要性を強調した。

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