原子力産業新聞

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静岡県牧之原市に原子力防災センター、高齢者らの一時避難先として県内初の新設

21 Apr 2020

地頭方原子力防災センター(牧之原市発表資料より引用)

静岡県牧之原市に4月19日、原子力災害発生時に高齢者や障害者など、要配慮者が一時的に避難する施設として「地頭方原子力防災センター」が完成した。中部電力浜岡原子力発電所から4.6kmの距離にあり、これまで原子力災害に備えた避難施設としては既存の小中学校体育館などが指定・整備されてきたが、新設のものは県内で初となる。

約260人を収容できる同センターは、鉄筋コンクリート構造2階建てで、避難室8部屋(うち和室2部屋)、備蓄倉庫、7日間の停電に対応できる非常用発電設備や地下軽油タンクを備えているほか、放射線防護のため、陽圧化装置(建物内の気圧を上げて外からの空気を入りにくくする)や鉛入りのカーテンが設置されている。およそ6.6億円の事業費が投じられ昨秋より建設工事を行っていた。市では、施設の完成に先立ち愛称を募集し、審査の結果、7日に「ジーボ」と決定した。

浜岡発電所周辺の市町村(経産省発表資料より引用)

浜岡発電所から20 km圏内には、発電所を立地する御前崎市の他、掛川市、菊川市、牧之原市など7市町が含まれ、全市町の人口総数は40数万人に上っている。牧之原市の杉本基久雄市長は3日の定例記者会見で、「市内全体には1,200人の要配慮者がおり500人分の収容施設が足りない」と述べ、災害に備えた施設の整備がさらに必要なことを示唆した。

浜岡発電所では現在3、4号機について、新規制基準適合性に係る審査が行われている。

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