原子力産業新聞

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春季叙勲 桐花大綬章を大島理森氏らが受章

02 May 2025

石川公一

2000年に開催された第1回FNCA大臣級会合に臨む大島理森氏(右、左はタイのアーティット科学技術環境相)

政府は4月29日、春の叙勲を発表。桐花大綬章を元衆議院議長の大島理森氏が受章する。

大島氏は、中央省庁再編(2001年1月施行)の準備が佳境にあった2000年7~12月、文部相兼科学技術庁長官を務めた。当時、1999年に発生したJCO臨界事故、1998~99年に行われたH-ⅡAロケット打上げの2度に及ぶ失敗などを受け、科学技術行政の建て直しで手腕を発揮。原子力安全行政については、臨界事故の教訓を踏まえ、所管する試験研究炉や核燃料施設などにおける保安検査制度の新設を含む原子炉等規制法改正の立案をリード。同法は2000年7月に施行された。宇宙輸送の基盤技術に係る相次ぐ失敗に対しては、就任記者会見上で、「何をやっとるのか」と、声を荒げたこともある。この他、国際協力関連では、原子力委員会が主宰するASEAN諸国を中心とした政策対話の枠組み「アジア原子力協力フォーラム」(FNCA)の第1回会合(2000年、タイ・バンコク)に臨席。将来的に原子力開発を標榜する新興国の代表らに対し、原子力政策に係る人材育成、損害賠償制度整備の重要性を訴えかけた。現在、FNCAは、発足から四半世紀を迎え、加盟国は当初、9か国だったが、2024年末にはシンガポールが加わり13か国に達しており、IAEAやOECD/NEAなど、国際機関との連携も強化し活動を拡大させている。

旭日大綬章では、内閣府経済再生担当相などを歴任した甘利明氏が受章。同氏は、2006年9月~08年2月に経済産業相を務め、当時、総合資源エネルギー調査会が取りまとめた「原子力立国計画」に基づき、2007年4~5月には、産業界同行のもと、カザフスタンやサウジアラビアなど、中央・中東アジアの諸国・地域を訪れ、資源外交を積極的に推し進めた。また、同氏は、原子力発電所における過去の不適切事案発覚に端を発した発電設備の総点検をリード。原子力発電に関しては、「特別な保安検査」を実施し、原子力安全に関する企業文化や組織風土の定着に結び付けた。

この他、旭日重光章を元電源開発社長の北村雅良氏、瑞宝重光章を元東京工業大学(現、東京科学大学)学長の三島良直氏が受章。在職中、原子力関連では、それぞれ、大間原子力発電所計画の推進、原子燃料サイクルの研究も行う「科学技術創成研究院」創設で手腕を発揮した。

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