原子力産業新聞

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福島第一廃炉、1/2号機排気筒が解体で半分の高さに

01 May 2020

切断後の1/2号機排気筒 ©東京電力

東京電力は4月30日、福島第一原子力発電所廃炉の進捗状況を発表した。

昨夏より行われていた1/2号機排気筒解体が29日、予定していた工程(筒身部分16ブロック、鉄塔部分7ブロック)を完了した。今後の廃炉作業に向けて、高さ120mの排気筒は、損傷・破断が生じていたため、上部を解体しリスクを低減する必要があった。また、解体工事に際しては、作業員の被ばくを低減するため、現場での作業を無人化するよう切断・把持機能を有する解体装置を製作。2018年8月からモックアップ(模擬体)による遠隔解体の実証試験を行い、解体装置の性能や施工計画の検証、作業手順の確認など、準備を進め、2019年8月に解体工事を開始した。排気筒は、今回の解体工事で、破断が集中している高さ66m付近を含め、高さ59mより上部が撤去された。

排気筒解体の進め方(東京電力発表資料より引用)

排気筒の解体作業は、地元企業のエイブルが手掛け、現場で工事に当たった担当者は、「大きなプロジェクトに参加させてもらった。苦労したこともあったが、うまく作業を進めることができた」と語っている。

今後は残された排気筒の頂部からの雨水侵入防止のため、蓋を設置する計画となっており、福島第一廃炉推進カンパニープレジデントの小野明氏は、30日の記者会見で、「最後まで気を緩めることなく、安全最優先で作業を進めていく」と強調。また、「地元に高い技術力を持つ企業があることを実感した」とした上で、「未知なる作業が控えており、今回の経験を活かしていきたい」と述べ、遠隔操作技術など、今後の燃料デブリ取り出しに向けても地元企業を活用していく考えを示唆した。

2号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けては、遠隔操作でプール内調査を行う水中ROV(遊泳型ロボット)のモックアップ訓練を、南相馬市に3月末に全面開所した「福島ロボットテストフィールド」で5月中旬にも実施する予定。

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