原子力産業新聞

国内NEWS

除染土の県外処分 月内にロードマップを策定へ

13 Aug 2025

中西 康之助

首相官邸における福島県内除去土壌の復興再生利用を視察する林官房長官 画像:首相官邸HPより

林芳正内閣官房長官は810日、就任後初めて福島第一原子力発電所や中間貯蔵施設を訪問し、廃炉に向けた取り組みを視察した。

東京電力の小早川智明社長らとの意見交換会も実施し、「安全かつ着実な廃炉、福島の復興は政権の最重要課題。安全確保を最優先し、廃炉作業を一歩一歩進めてほしい」と発言した。

その後、記者団の取材に対し、福島県に残る除染土の県外処分に向けたロードマップ(工程表)を、今月中に策定すると明らかにした。このロードマップには今後5年間で取り組むべき課題が盛り込まれ、候補地選定条件の具体化に入る方針だ。

その上で「県外での最終処分に向けては、最終処分場の構造や必要な面積などをまとめた複数の選択肢を示しており、候補地の選定を進めたい。国民への理解醸成が特に重要で、政府を挙げて積極的な情報発信に取り組んでいく」と述べた。

これらの除染土は、福島県の大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設で一時的に保管されているが、20453月までに福島県外にて最終処分することが法律で定められている。政府はこの最終処分量を減らすために、放射性物質の濃度が低い土を、全国の公共工事の盛り土などに用いて再生利用する方針だ。

その除染土処分の第一歩として政府は、総理大臣官邸にて除染土を再生利用することをすでに発表している。719日~20日にかけて、中間貯蔵施設から除染土を積んだ10トントラックが官邸に到着し、前庭にて、除染土の上から普通の土をかぶせ、表面に芝生を張る作業を実施した。

除染土事業を管轄している環境省は今後、1週間に1回程度、放射線量を測定し、ホームページなどで情報を発信する方針。官邸での再生利用をきっかけに除染土への理解醸成につなげる狙いがある。

cooperation