原子力産業新聞

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規制委、六ヶ所再処理工場について新規制基準に「適合」との審査書案まとめる

13 May 2020

六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)

原子力規制委員会は5月13日の定例会合で、日本原燃の六ヶ所再処理工場が新規制基準に「適合している」とする「審査書案」(概要版はこちら)まとめた。今後、原子力委員会と経済産業相への意見照会、パブリックコメントを経て、正式決定となる運び。経済産業相に対しては、再処理施設の運転に係る判断が同委として初めてとなることを踏まえ、「エネルギー基本計画」との整合性も含め意見を求める。

日本原燃は2014年1月に六ヶ所再処理工場の審査を申請。「審査書案」取りまとめまで6年以上を要した。申請から5年が経過した2019年2月に規制委員会は、主な論点の確認をほぼ終了したことから、重大事故対策に係る審査方針の明確化を図り、同3月に「審査書案」取りまとめに向けた討議用資料を作成。日本原燃からの既出書類に対する補正申請を確認しながら、航空機落下の影響など、残る論点に関し審査の詰めに入った。

今回取りまとめられた「審査書案」では、施設の敷地近傍を横断し「地震動評価に与える影響が大きい」とされる出戸西方断層(11km)に関し、日本原燃による調査結果・評価の妥当性を確認。また、設計方針では、航空機落下による損傷防止について、再処理の主要工程(使用済み燃料受入れ・貯蔵、前処理、分離、精製、ウラン・プルトニウム混合脱硝、高レベル廃液固化)ごとの標的面積・落下確率に関する評価から「追加的な防護措置は不要」とした。再処理施設特有のものとしては、化学薬品の漏えいによる損傷防止対策などを確認。

更田豊志委員長は、会合終了後の記者会見で、「品質管理の問題で中断となった期間、審査体制の組み直しもあった」と、審査が長期にわたった要因を振り返った上で、「終盤にかかって議論も密になり今回まとめることができた」などと、所感を述べた。また、六ヶ所再処理工場の運転開始に向け、「検査の対象機器も多いことから、技術的な精密さをどれだけ日本原燃が押さえられるかがカギ」として、長期的な対応となる見込みを示唆した。

日本原燃は、六ヶ所再処理工場の2021年度上期しゅん工を目指している。同社は、「審査書案」取りまとめを受け、「大きな前進であり、引き続き審査合格に向けて全力で取り組んでいく」とのコメントを発表した。

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