原子力産業新聞

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福島第一2号機の使用済み燃料プール調査に向け水中ROV訓練、ロボットテストフィールドで

15 May 2020

水中ROV操作訓練の様子(©東京電力)

東京電力は5月13日、福島第一原子力発電所2号機の使用済み燃料プールの内部調査に向け、カメラを搭載した水中ROV(遊泳型ロボット)の操作訓練を、「福島ロボットテストフィールド」(南相馬市)で実施した。〈動画は こちら

2号機の使用済み燃料プールでは615体の燃料(新燃料28体、使用済み燃料587体)が保管されており、2024~26年度に取り出しを開始する。

今回の訓練は、6月中旬にも水中ROVを用いて初めて実施される2号機使用済み燃料プール内の調査に先立ち、実環境を模した状況での作業内容の確認、従事者の遠隔操作技術向上を目的としたもので、3月末に全面開所した「福島ロボットテストフィールド」の大水槽(30m×12m×水深7m)を利用。15日まで計8名が訓練を行い、水中ROVの基本操作を習得する。

水中ROV本体の外観(©東京電力)

水中ROV(35cm×20cm×20cm、重さ5kg)は、海外製で有線仕様。遠隔操作で最大速度5.6km/hで航行でき、13日の訓練では、東京電力社員らが水中ROVの操作技術を有するアトックスより指導を受け、大水槽の床に沈めたパネルの色識別などを行った。東京電力で2号機燃料取り出しプロジェクトグループマネージャーを務める上西修司氏は、「今後の廃炉を進める上で必ず必要となる技術」、「必要な時に自分たちで操作できることは重要なこと」などと、同社自らが技術力を向上させる意義を強調した。各訓練者は力量確認試験で訓練成果の認定を受け、今後の燃料取り出しに向けた重要なステップに臨むこととなる。

2号機燃料取り出しのイメージ(福島第一廃炉中長期ロードマップ資料より引用)

2号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けて、東京電力は、がれきの撤去や汚染状況の調査を順次実施し、空間線量率の低減傾向や今後の作業におけるダスト飛散対策を踏まえ、2019年5月に原子炉建屋を解体せず南側に作業用構台を設置する工法の採用を決定。水中ROVは、構台から遠隔無人重機で据え付けられる運搬装置を介し燃料プール内に投入され、燃料の変形や障害物の確認などを行い、得られた調査結果は燃料取扱設備の設計へと反映される。

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