原子力産業新聞

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「土木学会賞」、JR東日本・常磐線の復旧などが受賞

19 May 2020

建設中のJヴィレッジ駅(2018年7月撮影)

土木学会はこのほど、2019年度の「土木学会賞」受賞事業を発表。土木技術の発展に顕著な貢献をなし社会の発展に寄与した画期的プロジェクトに与えられる技術賞(IIグループ)を、常磐線の復旧・復興(JR東日本)が受賞した。「高い放射線量下における鉄道復旧と自治体と連携した復興の取組」が評価されたもの。

2011年3月の東日本大震災で福島・宮城県内が甚大な被害を受けた常磐線は、現位置で復旧した小高~相馬間、浜吉田~岩沼間に続き、内陸部への移設を行う大規模工事を経て相馬~浜吉田間が2016年12月に運転を再開。同月、福島第一原子力発電所事故の影響も受けている小高以南の不通区間に関しては、政府が取りまとめた「原子力災害からの福島復興加速のための基本指針」で、2019年度末までの開通を目指すとされた。その後、避難指示の解除により順次復旧が進み、2020年3月4~10日に双葉町・大熊町・富岡町に設定されていた帰還困難区域のうち、常磐線の線路・駅舎および周辺道路が解除となったことを受け、同14日最後に残った富岡~浪江間が運転を再開し9年ぶりに全線復旧を果たした。その間、JR東日本(水戸支社)は自治体との協定締結により、夜ノ森駅(富岡町)の「豊かな自然に溶け込む駅」をコンセプトとした駅舎のリニューアル、Jヴィレッジ駅(楢葉町)の開設を行うなど、地元とともに復興支援に取り組んできた。

また、福島第一原子力発電所事故に伴う除染事業(環境省福島地方環境事務所他、39社)も技術賞(IIグループ)を受賞。各社では、除染に伴い発生する除去土壌を、最終処分するまでの間、安全に集中管理・保管する中間貯蔵施設へ輸送し減容処理・貯蔵するため、分別の効率化や作業員被ばくの低減などに向け技術開発に取り組んでいる。

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