泊3号機再稼働へ 北海道知事「原子力発電の活用は現実的な選択」
01 Dec 2025
北海道の鈴木直道知事は11月28日の定例道議会で、泊発電所3号機(PWR、91.2万kWe)の再稼働について、「原子力発電所の活用は当面取り得る現実的な選択である」と述べた。
北海道ではこれまで、さまざまな経済団体や市民団体との対話に加え、岩宇4町村や後志管内、道内6圏域で住民説明会を開催し、意見交換を重ねてきた。再稼働に対する不安や懸念の声も寄せられる一方で、地元4町村(泊村・神恵内村・共和町・岩内町)の議会が早期再稼働を求める意見書を採択し、4町村長が再稼働への理解を表明したことを受け、鈴木知事は地元の判断を重く受け止め、同3号機の再稼働を進める姿勢を示した。
さらに知事は、「道内の電気料金が全国的にみても高水準にあり、道民の生活や道内経済に大きな影響を与えている」と指摘。また、北海道電力の齋藤晋代表取締役から3号機再稼働後の料金の値下げ見通し<既報>について、直接説明を受けたことも明らかにした。
鈴木知事が、「現実的な選択」と判断する根拠として挙げた点は以下の通り。
①泊3号機が新規制基準に適合していると認められたこと<既報>
②国が北海道およびUPZ(緊急防護措置準備区域)内13町村の防災計画と避難計画を一体化した泊地域の緊急時対応を取りまとめ、原子力防災会議が了承したこと
③再稼働により電気料金の引き下げが見込まれること
④電力需要増加が見込まれるなか、安定供給の確保に寄与すること
⑤脱炭素電源の確保が道内経済の成長や温室効果ガス削減に資すること
今後鈴木知事は、3号機を視察し、現地で安全対策について直接確認する予定となっている。また、地元4町村長から改めて話を聞き、定例道議会での議論を踏まえて最終判断を下すとしている。
赤澤亮正経済産業大臣は同日の記者会見で、「泊3号機の再稼働は、エネルギー安全保障やカーボンニュートラルの実現に寄与する観点から重要だと考えている。今後も地域の理解が得られるよう、我々も努力をしていきたい」と語った。
また、最先端半導体の量産を目指すラピダス社の工場の建設や、データセンターの集積が進む北海道において、産業競争力の観点から原子力発電所の再稼働が持つ意義を記者から問われた赤澤大臣は、「経産省では『ワット・ビット連携』を掲げ、安定した電力を必要とするデータセンターを発電所周辺に集積させることで産業クラスターの形成を図る政策を進めている。泊発電所3号機の再稼働が実現すれば、それら政策の一助となる。大変好ましいことだ」と強調した。

