規制庁 プラントシミュレータの更新に10.9億円
03 Dec 2025
原子力規制委員会は11月26日の定例委員会で、「原子力規制庁職員に係る研修の現状及び今後の取組」について、原子力安全人材育成センターの竹本亮副所長より説明があり、今後の展望を含め意見交換を実施した。
原子力安全人材育成センターとは、審査官や検査官らを育成するために創設された人材育成の専任機関のこと。2014年の開設以来、昨年度末までに累計1,405コース、2,366回の研修が実施されてきた。
同センターは常勤職員が44名、非常勤職員が23名の計67名体制(2025年11月現在)で運営されており、行政基礎研修、国際性向上研修、eラーニング、基本知識習得研修、専門性向上研修の5つのカテゴリーに分け、計183コースを提供している。
竹本副所長によると、新規採用職員には、「職員間のコミュニケーションの土台となる共通の言語が必要」という規制委の人材育成方針に基づき、法令、放射線、原子力技術などの体系的な教育を入庁初期から実施しているという。2年目以降は、規制対象施設に係る原子力規制事務所での業務経験を通じて実践力を養い、3年目以降は、階層別の研修プログラムを通して、継続的な人材成長を支える仕組みを整えている。また、語学研修にも重点を置き、国際会議の参加レベルとされる英語力を目指す体系的教育を実施していると説明した。
さらに同センターでは、原子力発電所の中央制御室を模したプラントシミュレータ(PWR・BWRどちらにも対応)が導入されている。昨年度、このシミュレータを活用した研修を、延べ246名が受講したという。座学に加え、通常運転から設計基準事故、過酷事故までの挙動を体系的に学ぶ仕組みが整備されている。なお、規制委では11月28日に閣議決定された2025年度の補正予算案にて、これら人材育成のためのプラントシミュレータ更新に向け、10.9億円が新たに計上された。
竹本副所長は今後の取組として、検査や審査など規制能力の向上のために、「引き続き、総合的かつ実践的な研修プログラムを行う」と語った。そのために、外部の専門的・多角的な視点を積極に取り入れた研修、シミュレータや模型を用いた実践教育の継続、基本・中級・上級の資格制度に基づく段階的スキル向上を進める考えを示し、「原子力に対する確かな規制を通じて人と環境を守る」という使命を実践できる職員の育成に全力で取り組むと結んだ。
その後の質疑応答では、自然ハザード、とりわけ地震・津波に関する研修の位置付けに関した質問があり、竹本副所長は「耐震・津波審査部門の協力により、原子力規制庁全職員向けの基礎研修と、審査官向けの高度な専門研修を体系的に実施している」と述べ、大学教授による応用研修などを含め手厚い教育体制が整っていることを示した。





