原子力産業新聞

国内NEWS

2020年度エネルギー白書が閣議決定

05 Jun 2020

政府は6月5日、2020年度のエネルギー白書を閣議決定した。エネルギー政策基本法に基づき、概ね前年度に講じられたエネルギー需給に関する施策について取りまとめたもの。今回も経済産業省が「一丁目一番地の最重要政策課題」と位置付ける「福島復興の進捗」を筆頭に、「災害・地政学リスクを踏まえたエネルギーシステム強靭化」、「運用開始となるパリ協定への対応」の3件を特集。

「福島復興の進捗」では、福島第一原子力発電所の廃炉に係る取組として、リスク低減に向けた1/2号機排気筒解体作業の進捗(2020年5月に上半分約60mの解体が完了)、2020年2月に取りまとめられた処理水の取扱いに関する報告書へのIAEAレビューなど、最近の動きも取り上げている。また、福島復興に関しては、いずれも2020年3月の進展として、帰還困難区域では初めてとなった双葉町・大熊町・富岡町の一部地域の避難指示解除や、「福島ロボットテストフィールド」と「福島水素エネルギー研究フィールド」の開所を紹介。

「災害・地政学リスクを踏まえたエネルギーシステム強靭化」では、ホルムズ海峡周辺での日本関係船舶被弾など、中東情勢の緊迫化をもたらす最近の事案や、昨秋の台風15号、19号による大規模停電の発生をとらえ、国際資源戦略やエネルギーレジリエンスの強化を図る重要性を訴えている。また、昨今の新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす国際原油価格市場への影響についてコラムで紹介。

「運用開始となるパリ協定への対応」では、地球温暖化対策に関する国際的枠組み「パリ協定」が2020年から本格運用されるのを受け、温室効果ガス削減につながる5分野16技術課題の具体的目標を掲げた「革新的環境イノベーション戦略」(2020年1月策定)について取り上げ、「技術開発を進めることで、実効的な温室効果ガス削減に取り組んでいくことが重要」と強調。2050年の確立を目指す「革新的環境イノベーション戦略」の技術課題では、安全性・経済性・機動性に優れた革新的原子力技術や核エネルギー技術を含むエネルギー転換の分野で、約300億トンの温室効果ガス削減が見込まれている。

資源エネルギー庁では、今回のエネルギー白書をわかりやすく紹介した「スペシャルコンテンツ」を公開している。

cooperation