原子力産業セミナー開催 人材確保へ各社が知恵(2)
08 Sep 2026
企業と学生の採用・就職活動支援と原子力産業界への理解向上を目的とした「原子力産業セミナー」(主催=原子力産業協会/関西原子力懇談会)が9月5日、東京都立産業貿易センター(東京・港区)で開催された。原子力産業新聞取材チームは、出展企業・機関のうち4社に、人材確保・育成に向けた取組みを聞いた。前回の木内計測、日本原子力発電に続き、今回は発電設備技術検査協会とアトックスの取組みを紹介する。
■発電設備技術検査協会:第三者の立場から「安全」を支える
発電設備技術検査協会は、7年ぶりに同セミナーにブースを出展した。発電設備の安全・健全性を評価する同協会の業務は、学生をはじめ一般には広く知られておらず、人材確保には厳しさもあるという。一方、エネルギーの安定供給や原子力発電所の再稼働への関心が高まるなか、第三者・中立的な立場から原子力発電所の安全を支える役割に魅力を感じる学生も増えているとして、こうした学生との接点拡大に期待を寄せる。
人材確保に向け、今年から技術系学生を対象としたインターンシップも開始した。電力会社の協力を得て、再稼働した原子力発電所や技能訓練施設を見学するほか、モックアップを使った溶接検査の模擬体験や非破壊検査技術の体験なども取り入れた。配管内部の傷を見つけ出す検査を「宝探し」に例えるなど、学生に仕事の面白さを伝える工夫も凝らしている。
1970年の設立以来、検査の専門家集団として溶接部の健全性評価や材料、非破壊検査などに関する知見・経験を蓄積してきた同協会は、これらを次世代に継承することを重要課題と位置付ける。安全は設備だけでなく、最終的には「人」によって支えられるとの考えから、現場を客観的に見極めるプロフェッショナルの育成を目指している。
■アトックス:「ラストワンマイル」を担う強み
2006年の同セミナー開始当初から出展を続けるアトックスは、近年、学生の原子力に対する意識に変化を感じているという。カーボンニュートラルへの関心の高まりやエネルギー問題が身近になったことに加え、原子力をめぐる前向きな話題が増えていることなどを背景に、原子力に対するネガティブな反応が減ってきたと指摘。企業説明会でも、原子力を主力とする企業という理由で敬遠されることが少なくなってきたとの感触を示す。
放射線技術を中心に原子力産業とともに発展してきた同社が、自社の強みとして学生にアピールするのが「ラストワンマイル」だ。機械化・自動化が進むなかでも代替できない最終工程を人の手で担うなど、他社が手掛けていない領域で強みを発揮しているという。一方、近年はエンジニアリング部門にも業務を拡大し、放射線技術を応用した医療装置の開発にも取り組むなど、事業領域を広げており、同社はこうした変化に挑戦する意欲を持つ人材を求めている。
学生に対しては、原子力産業は多様な技術や企業から成る総合技術産業であるとして、最初から選択肢を絞らず、広い視野で業界を見てほしいと呼びかける。また、若い世代が持つITリテラシーやAIなど新技術への適応力にも期待を寄せており、そうした力をエネルギー・原子力産業の発展に生かしてほしいとしている。





