原子力産業新聞

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G20エネルギー大臣会合、循環炭素経済に向け原子力の有用性も

29 Sep 2020

世界の主要26か国・地域と国際機関が集まるG20エネルギー大臣会合が9月27、28日、サウジアラビア主催によりテレビ会議で開催された。日本からは、梶山弘志経済産業大臣、鷲尾英一郎外務副大臣(写真、外務省ホームページより引用)らが出席。今回の会合では、(1)循環炭素経済、(2)エネルギー・アクセス、(3)エネルギー安全保障・市場安定化――を中心に議論し、11月21、22日開催予定のG20サミット(首脳会議)への提出に向け閣僚声明を採択した。

鷲尾外務副大臣は27日に行ったスピーチの中で、医療施設の運営や医薬品の保管に際してもエネルギーの安定供給が欠かせないことから、「新型コロナウイルス感染拡大が、エネルギー・アクセスの重要性を改めて強く想起させた」と強調。一方で、「世界では今も約8億人が電力に十分アクセスできていない」として、日本が主導するTICAD(アフリカ開発会議)などの枠組を通じ開発途上国への支援を図っていく考えを述べた。

閣僚声明では、循環炭素経済の実現に向け、「Reduce」(廃棄物の発生抑制)、「Reuse」(再使用)、「Recycle」(再資源化)の3Rに、「Remove」(CO2回収・貯蔵や大気中からの直接回収を含む技術・アプローチ)を加えた4Rを提唱。この中で、「Reduce」の要素として、「省エネルギー、再生可能エネルギー、原子力などの技術利用・イノベーションを通じ、エネルギー供給・消費のよりよい管理を通じ低排出を追求する」ことが明記された。原子力については、「エネルギー安全保障を確保するのみならず、クリーンエネルギーを提供する役割を果たす」とした上で、廃炉や放射性廃棄物の最終処分の課題にも取り組む重要性を確認。2019年に日本が議長国を務めたG20エネルギー大臣会合(軽井沢)では、高レベル放射性廃棄物の最終処分実現に向け、原子力主要国政府が参加する「国際ラウンドテーブル」の立ち上げを合意し、2回の会合開催を踏まえ2020年8月に報告書を取りまとめている。

循環炭素経済について、梶山経済産業相は、日本が策定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」に盛り込まれた「環境と経済の好循環」に通じるものと評価。あらゆるエネルギー源や技術の活用を支持し、各国のイノベーション・リーダーらが集結するICEF2020を始めとした国際会議の集中開催「東京ビヨンド・ゼロ・ウィーク」(10月7~14日)を紹介した。

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