原子力産業新聞

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エネ庁が冬の電力需給見通しまとめる

30 Oct 2020

資源エネルギー庁は10月30日、冬(12~3月)の電力需給見通しをまとめた。全国各地域とも、安定供給に最低限必要とされる予備率3%を確保できる見通し。電力需要の増加が見込まれる夏季・冬季の数値目標を設定した節電要請は、2013年度冬季に北海道を対象とした「2010年度比でマイナス6%以上の節電」が最後となっており、今冬も引き続き行われないこととなる。

全国の電力需給に関するデータを取りまとめている電力広域的運営推進機関(OCCTO)の報告書によると、1月の電力供給力で、原子力は、関西地域154万kW、九州地域279万kWの計433万kWが見込まれている。

関西電力で再稼働している原子力発電プラント4基のうち、高浜4号機(87万kW)は10月7日から定期検査が行われており、2021年1月下旬に発電再開予定。現在稼働中の大飯4号機(118万kW)は11月3日より約3か月の予定で定期検査に入る。一方、高浜3号機(87万kW)は、定期検査中に確認された蒸気発生器伝熱管損傷への対応が続いているほか、8月3日に新規制基準で求められるテロ対策の「特定重大事故等対処施設」の設置期限を満了。同機の定期検査は2021年1月中旬までの予定となっている。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い当初予定より2月ほど遅れて7月20日に定期検査入りした大飯3号機(118万kW)は、超音波探傷試験で確認された配管損傷への対応のため発電再開の時期は未定。

九州電力では、現在、川内1、2号機(各89万kW)の定期検査で「特定重大事故等対処施設」の設置工事が進められており、それぞれ11月26日、12月26日に発電再開予定となっている。9月18日より定期検査中の玄海3号機(118万kW)は12月中にも営業運転に復帰する見通し。

なお、OCCTOは、今回の電力需給検証に関し、新型コロナウイルスに伴う影響評価を行っている。それによると、感染症がなかったと仮定した電力量と比較(簡易試算結果)し、4月はマイナス0.8%、5月はマイナス6.7%、6月はマイナス5.1%、7月はマイナス3.1%と、5月の落ち込みをピークに回復の兆しが示された。4~7月の内訳(家庭、業務、産業)で、業務部門が最大マイナス14.7%と大幅な減少となっているのに対し、家庭部門は最大6.9%増加しており、飲食業・宿泊業や娯楽サービスなどの営業縮小や、テレワークや学校休業による在宅増加が影響したものと分析している。

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