原子力産業新聞

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産総研が成果発表会、長期間電池交換が不要な放射線線量計など披露

05 Feb 2021

産業技術総合研究所は2月1~5日、2020年度の成果発表会をオンラインで開催。動画とポスターを通じ200件を超える1年間の研究成果が発表された。

IoT型放射線線量計

その中で、分析計測標準研究部門の鈴木良一氏らは、省電力無線技術で2万時間の連続動作と効率的なデータ収集を可能にした「IoT型放射線線量計」を披露。同氏の研究グループは、原子力災害被災地のモニタリング用に被ばく線量を日々計測し記録する小型の放射線線量計(10~20g、学童・園児の名札に入るサイズ)を2012年に開発したが、無線通信の電力消費が大きく電池が消耗しやすいことが課題となっていた。このほどIoT(Internet of Things)技術を融合し開発された新たな線量計は、「Bluetooth Low Energy」とよばれる省電力無線通信技術を用い、3Vのボタン電池1個で連続2年以上(約2万時間)動作する低消費電力化を実現。年2,000時間程度の作業で使用する場合、約10年間電池交換が不要となる。さらに、過去1時間では1分ごと、過去1日では1時間ごとの線量率の時間推移をグラフ表示するディスプレイを搭載。専用の無線機構と組み合わせることで多数の線量計の時間データをリアルタイムで収集できる特長も備え、研究グループでは、「効果的な被ばく低減対策をとることが可能になる」と期待している。

小型X線源、カーボンナノ構造体の持つ電子放出特性を利用

また、X線・陽電子計測研究グループの加藤英俊氏らは、小型X線源を用いた非破壊検査技術について紹介。老朽化が懸念されるインフラ設備の点検増などの要請に応え、総重量2.5kgの小型X線源を開発し、これまで不可能であった狭あい箇所のX線検査を可能とした。今後はロボット・ドローンに搭載できるX線検査装置の開発に取り組んでいくとしている。

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