原子力産業新聞

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福島県・内堀知事、東京オリンピックの所感述べる

11 Aug 2021

会見を行う福島県・内堀知事(インターネット中継)

福島県の内堀雅雄知事は8月11日、記者会見を行い、コロナ対策として134億円を計上した2021年度8月補正予算について説明後、東日本大震災からの復興を世界に発信する「復興五輪」を掲げ8日に17日間の日程を終了した東京オリンピックの所感を述べた。

内堀知事はまず、「『光と影』が混ざり合った『復興五輪』だった」と回想。その上で、「明るい光」として、(1)3月に聖火リレーがJヴィレッジをスタートし浜通り地域を巡り大会期間中には聖火台で浪江産の水素により輝き続けた、(2)県内で野球・ソフトボールの計7試合が開催された、(3)選手村で福島県産の農産物が活用された――ことをあげ、「これらが『復興五輪』の一つの形につながっていると思う」とした。一方で、「深刻な影」として、(1)聖火リレースタート直前の開催延期決定、(2)無観客での競技開催、(3)根強く残る風評被害――を指摘。特に、今回のオリンピックが無観客開催となったことに関し、内堀知事は、「『復興五輪』の重要な部分は、世界各国からの観客・報道陣が福島の地に来て、見て、感じてもらうことだ」と強調し、「一番根幹の部分が失われてしまった」と、無念の意をあらわにした。また、福島県産の農産物・花きに対する誤解・偏見に基づく風評が一部にみられたことを振り返り、「福島第一原子力発電所事故発生から10年5か月が経過したが、今なお根強く風評被害が続いている」とし、県産品の輸入規制を講じている国々の温度差に言及しながら「愚直に粘り強く事実を訴え続け、この状況を変えていかねばならない」と強調。

内堀知事は、ソフトボール金メダリストの上野由岐子選手の言葉「あきらめなければ夢はかなう」を紹介。続くパラリンピアンの活躍に期待するとともに、「福島へのエール、『復興五輪』のレガシー」と受け止め、引き続き途上にある福島の復興、今回のオリンピックでなし得なかったインバウンドの集客にも取り組んでいく考えを述べた。

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