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トルコのアックユ4号機に建設許可

02 Nov 2021

アックユ原子力発電所の建設サイト ©ANPP

トルコ初の原子力発電所となるアックユ発電所(120万kWのロシア型PWR=VVER×4基)を地中海沿岸で建設しているロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は10月29日、トルコの原子力規制庁(NDK)が同社傘下のアックユ原子力発電会社(ANPP)に対し、4号機の建設許可を発給したと発表した。

これにより建設サイトでは、安全関係設備も含め同炉のすべての設備の建設・設置工事が実施可能になる。ANPP社は年内にも、原子炉建屋とタービン建屋のベースマット下部に敷くコンクリート・パッドの作業などを開始し、来年初頭にはこれらの建屋で最初のコンクリートを打設する計画である。

ANPP社は2020年5月、NDKに4号機の建設許可申請を行っており、その際、同炉の予備的安全解析報告書(PSAR)や確率論的安全分析(PSA)、および安全性と信頼性を確認するその他の文書も提出した。その後、今年の6月末にNDKが部分的建設許可(LWP)を発給したことから、ANPP社はLWPに基づき工事測量やピット掘削などの準備作業を実施していた。 

今回4号機の建設許可が発給されたのを受け、ANPP社は「建設の安全性・健全性に関わるNDK審査では、4基すべての建設計画の許認可手続きが完了した」と指摘している。

トルコ初の原子力発電所となることから、アックユ発電所の建設工事ではANPP社がトルコ政府の様々な関係機関から120もの許可や認可を取得する必要があった。これまでに同社は、建設許可のほかに環境影響声明書(EIA)に対する肯定的評価や発電許可、建設サイトに資機材を輸送する「東部貨物(船舶用)ターミナル」の操業許可など、主要な許可をすべて取得。今後NDKは各ユニットの建設状況に応じて、燃料の装荷時や起動時、従業員の適格性確認等で申請書の審査を行うことになる。

アックユ原子力発電所では2018年4月に1号機、2020年4月に2号機が本格着工しており、ANPP社は今年の10月下旬、1号機用格納容器の内殻となるスチール製構造物に最終リング(4段目)を据え付けた。また、2号機では9月の末に、原子炉シャフトの主要な機器を設置。今年の3月中旬には、3号機用原子炉建屋の基礎部分に最初のコンクリートを打設している。

同社はトルコ側の要望を受けて、同国が建国100周年を迎える2023年に1号機の運転開始を目指しているほか、残りの3基も順次完成させていく予定。トルコはこれら4基で、国内電力需要の約10%を賄う方針である。

(参照資料:ANPP社の発表資料ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月29日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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