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韓国KAERIとバングラデシュ原子力委が研究開発分野の協力促進で覚書

02 Jun 2022

覚書の調印式 ©KAERI

韓国原子力研究院(KAERI)は5月26日、原子力研究開発分野におけるバングラデシュ原子力委員会(BAEC)との既存の技術協力を強化するため、25日に同国の首都ダッカにあるBAEC本部で了解覚書を締結したと発表した。

今回の覚書への調印は、KAERIのW.S.パク院長とBAECのM.A.ハク委員長が行った。調印式にはこのほか、バングラデシュ駐在の韓国大使と双方の代表者が出席している。

同覚書を通じて、KAERIはこれまでの協力分野の中でも特に共同研究や人材育成に力を入れるとともに、個別の技術課題や協力活動に関する協議を実施。双方のチームや個人が互いの施設を視察し関連情報を共有するほか、既存設備の性能評価を実施して新たな設備の建設も検討する。具体的な協力項目としては、研究炉の開発・利用と改修工事、放射性同位体の生産と利用、放射線技術や中性子科学の発展、放射性廃棄物の管理などを挙げている。

BAECとのこれまでの協力で、KAERIはBAECが保有する出力0.3万kWのTRIGA研究炉(BTTR)に対し、デジタル式計装・制御(I&C)システムの設計・供給と設置、および試験と起動に関するコンサルティング業務契約を2021年7月に獲得した。このような成果に基づき、今回の覚書は両者の協力を一層高いレベルに引き上げる推進力にしたいと述べた。

バングラデシュでは現在、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社を通じて、バングラデシュ初の原子力発電所となるルプール1、2号機(各PWR、120万kW)をダッカの北西約160kmの地点で建設中。1号機では昨年10月に原子炉容器の設置が完了しており、2号機用の原子炉容器と蒸気発生器もすでに建設サイトに搬入された。1、2号機はそれぞれ、2023年と2024年の運転開始を目指して作業が進められている。

商業炉の運転に関しては、ロスアトム社がバングラデシュ側に全面的に協力している。建設中の2基では最新鋭の第3世代+(プラス)のロシア型PWR(VVER)「AES-2006」を採用しているため、ロスアトム社は傘下のロスアトム・サービス社の「技術アカデミー」を通じて、バングラデシュの専門家に2週間の訓練コースを提供。昨年11月に実施したオンラインの訓練コース「AES-2006の技術的側面:VVER技術に関する原子力カリキュラムの開発」では、バングラデシュの科学技術省(MoST)やBAEC、BAEC所有のバングラデシュ原子力公社(NPCBL)、原子力規制庁(BAERA)、大学等から50名以上の専門家や管理者らが参加した。

(参照資料:KAERI、ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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