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フェンノボイマ社、ハンヒキビ計画の中止でロシアに損害賠償請求

26 Aug 2022

ハンヒキビ原子力発電所の完成予想図 ©Fennovoima

フィンランドのフェンノボイマ社は8月20日、ピュハヨキで進めていたハンヒキビ原子力発電所1号機(120万kW級ロシア型PWR=VVER)建設プロジェクトを今年5月に中止したことについて、工事を請け負っていたロシアの原子力総合企業ロスアトム社とその関係企業に約20億ユーロ(約2,700億円)の損害賠償を請求すると発表した。中止理由として、フェンノボイマ社はロシア側担当企業による作業の遅れと能力不足を指摘していた。

この建設計画については、ロスアトム社がフェンノボイマ社株の34%を引き受けると約束したことから、フェンノボイマ社は2013年12月にロスアトム社の国際事業部門であるルスアトム・オーバーシーズ社と原子炉供給契約を締結。2015年6月に建設許可申請書を雇用経済省に提出し、2016年1月にピュハヨキのサイトで基礎掘削に着手した。

ロスアトム社のフィンランド子会社で、同計画の総合建設請負業者であるRAOSプロジェクト社の説明では、複雑な原子力発電所の建設工事では安全性と品質の保持を最優先とするため、初期には確かに多少の遅れがあった。しかし、同社は2021年末、最新の合意済みスケジュールに沿って原子炉設計の予備的安全解析報告書と技術面の安全性評価結果をフェンノボイマ社に提出しており、フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)への提出が遅れたのは、フェンノボイマ社側が独自に実施した安全性評価の遅れによるものだと指摘した。

サイトでは建設許可の取得に先立ち、2020年6月から管理棟の建設工事も始まっていたが、今年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始を受けて、フェンノボイマ社に一部出資しているヘルシンキ郡のバンター市は翌3月に建設プロジェクトからの撤退を表明。フィンランド南西部のトゥルク市も同じ時期、「ロスアトム社、あるいはその他のロシア企業が建設するハンヒキビ計画からは撤退する」と発表していた。

フェンノボイマ社も5月2日、RAOSプロジェクト社による作業の大幅な遅れと同社のプロジェクト実施能力の不足を理由に、EPC(設計・調達・建設)契約を解除したと発表、ロスアトム社傘下の燃料製造企業TVEL社と結んでいた燃料供給契約も終了させたと表明した。

これに続いて、同社は同月24日には建設許可の申請書を取り下げており、これらの変更にともなう従業員との協議を6月下旬まで実施。その結果、今年中に人員整理を行い、従業員は10名以下に削減することになった。

これに加えて、フェンノボイマ社はすでにロシア側企業との仲裁に関する複数の手続き、およびその他の法的措置を開始している。同社によると、20日時点でロシア側からフェンノボイマ社への反訴はないものの、その可能性はあり得る。RAOSプロジェクト社は5月6日、「当社の自衛のため、プロジェクトの違法な中止にともなう賠償を請求せざるを得ない」と表明。8月23日付のロイター通信では、ロスアトム社が同日までに6件、総額30億ドルの賠償請求をフェンノボイマ社に起こしたと伝えられている。

(参照資料:フェンノボイマ社(フィンランド語)RAOSプロジェクト社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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