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カナダとポーランドの規制当局 SMR関係の協力強化で合意

15 Feb 2023

CNSCのヴェルシ委員長(=左)とPAAのグウォヴァツキ長官代理 © Państwowa Agencja Atomistyki

カナダ原子力安全委員会(CNSC)とポーランドの国家原子力機関(PAA)は213日、両者のこれまでの協力関係を補足・強化し、小型モジュール炉(SMR)や先進的原子炉に関する活動を共同で進めるため、協力覚書を締結した。

この覚書は両者が20149月、原子力安全分野の一般的な協力について締結した情報交換のための了解覚書に基づいている。これらの原子炉に関係する審査で、規制上の良好事例や経験の共有を一層拡大するとしており、中でもGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製のSMRBWRX-300」(30kW)に関する情報を交換、共同で技術審査を行うことを目指している。

BWRX-300」の初号機については、カナダのオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が、ダーリントン原子力発電所サイト内で2028年第4四半期までに完成させることを計画。CNSCが提供する「ベンダー設計審査(VDR)」では第2段階の審査が行われており、OPG社は202210月に同炉の建設許可を申請した。

一方ポーランドでは、大手化学素材メーカーであるシントス社のグループ企業が、石油化学企業大手のPKNオーレン社と合弁でオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社を設立しており、2033年以降の完成を目指して「BWRX-300」の建設を進める方針である。OSGE社は同設計を選択した理由として、許認可手続きや建設・運転に至るまでOPG社の経験を参考にできると説明。PAAに対しては20227月、「BWRX-300」建設計画に関する予備的な評価見解の提示を要請していた。

今回の協力覚書は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで国際原子力機関(IAEA)が規制関係の国際会議を開催したのに合わせ、PAAA.グウォヴァツキ長官代理とCNSCR.ヴェルシ委員長が調印した。

両者が協力を進める主要事項は以下のとおり。

  • 先進的原子炉とSMRの技術に関する審査アプローチを共有し、共通する技術的課題の解決を促進する。
  • 審査の効率的な実施に向けて双方が確実に準備を整えるため、申請の前段階の活動を共同で実施する。
  • 安全性を確保するため、これらに特有の全く新しい技術的問題点に取り組めるような規制アプローチを共同で研究・開発し、研修も行う。

PAAのA.グウォヴァツキ長官代理は今回の協力覚書について、「規制審査関係の経験を共有することで許認可手続きの合理化が進み、双方の規制アプローチの調和が図られる」とコメント。ポーランドのみならず、その他の国でもこのような原子炉の建設が一層効率的に進むことになると指摘している。

(参照資料:PAACNSCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA214日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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