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トルコ アックユ1号機の初装荷燃料がサイトに到着

02 May 2023

初装荷燃料の安全輸送証明書を提示するリハチョフ総裁(=左) ©Rosatom

トルコ初の原子力発電所建設を請け負っているロシアの原子力総合企業ロスアトム社は427日、地中海沿岸メルシン地区のアックユ原子力発電所(120kWのロシア型PWR×4基)建設サイトに、1号機用の初装荷燃料がロシアから到着したと発表した。

同発電所建設プロジェクトの実施に向けて両国が20105月に結んだ政府間協定(IGA)の規定では、建設工事に必要な許可がすべて発給されてから7年以内に、発電所初号機の試運転を開始しなければならない。このためロスアトム社は、20184月に本格着工した1号機を2025年までに起動させるため、トルコの建国100周年に当たる今年中に起動の開始準備を整える方針である。

同発電所の4基は第3世代+(プラス)のロシア型PWRVVER)を採用しており、1号機に続いて24号機の建設工事がそれぞれ、20204月と20213月、および20227月に開始された。約200億ドルの総工費は差し当たりロシア側が全額負担し、発電所の完成後にトルコ電力卸売会社(TETAS)がロスアトム社のトルコ法人であるアックユ発電会社(ANPP)から固定価格で15年間購入する予定。発電所の設計・建設から運転、保守点検、廃止措置まで、ANPP社が受け持つなど、原子力分野で「建設・所有・運転(BOO)」方式を採用した世界での初の事例となっている。

ロスアトム社はまた、IGAの規定に基づきANPP社株の最大49%をトルコや第三国の企業に売却する方針。20176月に、トルコの大手エネルギー・インフラ建設企業3社の連合体が49%の出資に合意したが、その後最終合意に至らず、ロスアトム社はその分の出資者を模索している。

1号機用の初装荷燃料は、TVEL社の傘下企業が製造したもので、サイトへの到着を記念する現地での式典にはロシアのV.プーチン大統領とトルコのR.エルドアン大統領がオンラインで出席。このほか、国際原子力機関(IAEA)のR.グロッシー事務局長やトルコ・エネルギー・天然資源省のF.ドンメズ大臣、ロスアトム社のA.リハチョフ総裁、ANPP社のA.ゾテエバCEOらが現地で参加した。

この式典でリハチョフ総裁は、原子燃料の安全な輸送に関わる基準や要件すべてを満たす形で初装荷燃料が輸送されたという証明書をドンメズ大臣に提示。トルコはいよいよ、原子力平和利用国の一員になると強調した。また、両国最大の共同プロジェクトとなった同発電所の建設プロジェクトには、400社以上のトルコ企業が参加していることから、「トルコはすでに自国の原子力産業を発展させたと言える」と述べた。

ドンメズ大臣も「我々の目標実現まであと少しになった」とし、来年にも発電を開始したいとの意向を表明。2028年までに4基すべてが完成すれば、同発電所は年間350kWhを発電してトルコの電力需要の約10%を満たすことから、「我が国のエネルギーミックスが多様化するだけでなく、天然ガスの輸入量も年間70億m3削減され、3500万トンのCO2排出を抑えることができる」と強調している。

(参照資料:ロスアトム社トルコ大統領府(トルコ語)ロシア大統領府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA427日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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