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米ジョージア・パワー社、新型コロナの影響対策でボーグル増設サイトの労働力20%削減  

17 Apr 2020

今年2月時点の増設サイト(手前が4号機、後ろが3号機) ©ジョージア・パワー社

米国で約30年ぶりの新設計画として、A.W.ボーグル原子力発電所で3、4号機(各110万kWのPWR)を増設中のジョージア・パワー社、およびその親会社のサザン社は4月15日、新型コロナウイルスによる感染の影響を軽減するため、増設サイトの労働力を約20%削減する方針を明らかにした。

これは、米証券取引委員会に対する同日付報告書のなかで両社が表明したもの。増設サイトでは協力会社などを中心に約9,000人が作業中と伝えられているが、ジョージア・パワー社によると、このうち多数の作業員がこれまでにPCR検査で陽性と判定されており、その影響から現場の労働生産性が悪化している。

労働力の削減はそうした影響を緩和するための措置であり、夏まで数か月間継続されるものの、ジョージア・パワー社は引き続き新型コロナウイルスによる感染の影響を監視。建設プロジェクトの総資本費や、両炉の現行の完成日程である2021年11月と2022年11月に影響が及ぶことはないと強調している。

報告書によるとジョージア・パワー社は、現場の労働力は削減されるが残りの労働力でも生産性改善の工夫により、作業員の疲労や欠勤率が下がると指摘。これによって、増設工事全体の作業効率を向上させることができるとした。また、作業員間のソーシャルディスタンスの確保という副次効果も生まれ、連邦疾病管理予防センター(CDC)が推奨している最新項目の順守促進にもつながるとしている。

このプロジェクトでジョージア・パワー社は45.7%出資しているため、今回の措置により同社が負担する経費は合計1,500万~3,000万ドルほどとなる。そのほかの出資企業は、オーグルソープ電力が30%、ジョージア電力公社(MEAG)の子会社が22.7%、ダルトン市営電力が1.6%となっている。

2013年の3月と11月に始まった3、4号機増設プロジェクトでは、昨年7月に3号機の初装荷燃料が発注されたほか、同年12月には遮へい建屋に円錐形の屋根を設置。4号機についても、今年3月に格納容器に上部ヘッドを設置する作業が完了しているが、サザン社は証券取引委員会に対する4月1日付け報告書の中で、新型コロナウイルスによる感染の拡大により、同社とその子会社は増設プロジェクトの遅れや混乱といった様々なリスクにさらされているとの懸念を表明していた。

(参照資料:サザン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

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