米国 軍事施設向けマイクロ炉導入計画を推進
22 Apr 2025
米国防総省(DOD)傘下の国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit:DIU)は4月10日、安全性、セキュリティ、信頼性を備えた原子力発電の供給に向け、特定の軍事施設で導入可能なマイクロ炉の開発企業8社を選定した。
DIUは、民間セクターで開発、軍事にも利用可能な最先端の商用技術を企業との契約などを通じて獲得することを主要な任務とする機関。今回の選定は、バイデン政権下で2024年夏に始動したDIUと陸軍省および空軍省の共同作業プログラムであるAdvanced Nuclear Power for Installations(ANPI)プログラムの一環。同プログラムは、陸・海・空・宇宙・サイバー空間におけるグローバルな作戦を支援するため、DODの軍事施設向けに陸上固定式の1基または複数のマイクロ炉から構成される原子力発電システムの設計、ライセンス取得、建設、運用を行うのが目的である。
今回選定された8社は以下のとおり。
- アンタレス・ニュークリア社
- BWXTアドバンスト・テクノロジー社
- ジェネラル・アトミック・エレクトロマグネティック・システムズ社
- ケイロス・パワー社
- オクロ社
- ラディアント・インダストリー社
- ウェスチングハウス・ガバメント・サービス社
- X-エナジー社
DODは、米国が先進炉の開発と展開を主導し、特に遠隔地や厳しい環境でのDODの重要ミッションにおいて、レジリエンスのある、途切れのない電力で自国の重要なインフラの保護を重要視。基地外へのエネルギー依存は、制約のある電力網システム、自然災害、インフラへの物理的・サイバー攻撃によってミッションの中断やリスクを引き起こす恐れがあるとの考えだ。DIUによると、ANPIプログラムは、トランプ大統領による大統領令(国家エネルギー緊急事態宣言、米国のエネルギーを解き放つ)に沿ったものであると同時に、DIUの商業技術ソリューション取得のための契約プロセスを含み、大統領令(防衛調達品の近代化と産業基盤におけるイノベーションの促進)の目的に合致するものでもある。
DIUのエネルギーポートフォリオディレクターのA. ヒギエル氏は、「軍事施設に設置されるマイクロ炉は、部隊にエネルギーを確立するための重要な第一歩。軍事分野で民間セクターの急速な技術進歩を活用することは、過去数年間で投じられた多額の民間投資を考慮すると、極めて重要である。米国と国防総省は、エネルギー支配を維持し、国家安全保障のために最先端の原子力技術を最大限活用する必要がある」と語った。
なおANPIプログラムは、DIU、陸軍、空軍に加え、エネルギー省、原子力規制委員会(NRC)、アイダホ国立研究所(オークリッジ国立研究所と共同)、ロスアラモス国立研究所、アルゴンヌ国立研究所、パシフィック・ノースウェスト国立研究所、サンディア国立研究所から支援を受けている。