米ボーグル2号機 高濃縮度燃料を初装荷
25 Apr 2025
米国の電力会社であるサザン・ニュークリア社は4月10日、次世代燃料の特徴を備えた4体の先行試験用燃料集合体(LTA)を、同社が運転するアルビン・W・ボーグル発電所2号機(PWR、122.9万kWe)に装荷した。これまでの濃縮度制限を超える燃料を装荷する米国初の商用炉となった。
サザン・ニュークリア社は2023年8月、米原子力規制委員会から濃縮度5%を超える燃料装荷が認められている。ボーグル2号機に装荷した4体のLTAは、米エネルギー省(DOE)の事故耐性燃料(ATF)プログラムにより、燃料サイクルの安全性向上、運転コストの低減を目指している。米ウェスチングハウス社が開発、製造した革新的なADOPTペレット燃料を使用。酸化クロム(Cr₂O₃)と酸化アルミニウム(Al₂O₃)を少量添加した改良型UO₂設計で、高燃焼度化を達成する。また、腐食耐性と変形耐性に優れたAXIOM燃料棒被覆管とクロムコーティングの被覆管および先進的なPRIME燃料集合体設計を採用している。
通常炉で使用する燃料はU235の濃縮度は3~5%の範囲だが、今回装荷されたLTAの濃縮度は6%。高濃縮度燃料は運転サイクルを18か月から24か月に延長させ、より高い出力を可能にし、原子炉運転期間に発生する廃棄物の減容にもつながる。LTAはボーグル2号機で今後4年半にわたって試験を行い、燃料は各運転サイクル後に検査され、試験完了後にはより広範なレビューが行われる。DOEは高濃縮度燃料が、業界のゲームチェンジャーとなる可能性を指摘。将来の米国での商業化と展開を期待している。
サザン・ニュークリア社のP. セナCEOは、「当社の目標は、より高い出力と高濃縮度の燃料を使用して原子炉をより長く稼働させることであり、ジョージア州の増大するエネルギー需要を満たす点において優位性がある」と語った。
サザン・ニュークリア社は、2018年に自社のエドウィン・I・ハッチ原子力発電所1号機(BWR、91.1万kWe)において、ATF燃料被覆技術を世界初で採用。国立研究所や他の燃料供給業者と提携し、先進的な燃料の導入と試験を実施している。