JPモルガン 1.5兆ドル規模の投資計画発表 対象に原子力も
20 Oct 2025
米国の投資銀行JPモルガン・チェースは、10月13日、米国の国家安全保障および経済のレジリエンス(回復力・弾力性)を強化するため、今後10年間で総額1.5兆ドル(約225兆円)規模の資金支援と投融資を実行する計画を発表した。この計画には、自社資金による最大100億ドル(約1.5兆円)の直接投資も含まれており、対象には原子力分野も含まれることが明らかになった。
同社のJ.ダイモン会長兼CEOは、「米国は国家安全保障に不可欠な鉱物や製品、製造能力を信頼性の低い供給源に過度に依存してしまっていることが明らかになった」と述べ、米国の安全保障と経済のレジリエンスを確保するためには、より迅速な行動と積極的な投資が不可欠であると強調している。
計画では、以下の4分野を重点課題として掲げており、これらに対して助言、資金提供、時には投資を通じて支援を行うとしている。
- サプライチェーンと先進製造業:鉱物・製造部材、医療原料、ロボティクス等
- 防衛・宇宙産業:防衛技術、自律システム、ドローン、次世代通信、セキュア通信等
- エネルギー自立とレジリエンス:送電網強化、分散型エネルギー、蓄電池、再生可能エネルギー等
- 先端・戦略技術:AI(人工知能)、サイバーセキュリティ、量子コンピューティング等
このうち「エネルギー自立とレジリエンス」分野では、送電網のレジリエンス強化のほか、分散型エネルギー、太陽光発電、蓄電池もサブ領域として明記されている。またダイモン氏は、AIの進展に伴う電力需要の急増に対応するため、半導体やデータセンターを支える強固なエネルギーシステムの構築が不可欠であると指摘した。
これらの取り組みを推進するため、同社は今後、銀行や投資部門の人員を拡充するとともに、官民の有識者による外部諮問委員会を設置し、専門知識を結集して支援体制を強化する方針だ。