米政府とWEが原子炉新設で連携 日本の政府系金融も支援検討
29 Oct 2025
米ウェスチングハウス(WE)社はこのほど、カナダのウラン供給大手カメコ社および資産運用会社ブルックフィールド社とともに、米商務省と原子力発電所の新設を推進する戦略的提携を結んだ。米政府の支援を受け、国内で複数の原子炉建設計画を進める方針で、総投資額は少なくとも800億ドル(約12兆円)に上る見通しだ。
WE社は今年7月、トランプ大統領に対し、大型炉AP1000(PWR、125万kWe)10基の米国で建設する計画を報告。2030年までの着工を目指している。今回の提携により、米政府は資金調達や許認可支援を行う。投資スキームには、米政府が「参加持分」と呼ばれる権利を保有し、利益が175億ドルを超えた場合、その20%を受け取る仕組みを盛り込む。
H.ラトニック米商務省長官は、「このパートナーシップは、トランプ大統領が掲げる“原子力ルネッサンス”を具体化するものだ」と強調。トランプ政権は2050年までに米国の原子力発電設備容量を現在の4倍に拡大する目標を掲げており、今回の協定はその中核に位置付けられる。
資金面では、日本の政府系金融機関による対米投融資も活用される見通し。10月28日に日米両政府が発表した「日米間の投資に関する共同ファクトシート」では、5,500億ドル(約84兆円)規模の対米投資枠が設けられ、エネルギーやAIインフラ関連プロジェクトの支援が想定されている。日本の国際協力銀行(JBIC)などが、米国側が承認したプロジェクトに対し出資や融資保証を行う仕組みで、現在21件の案件が候補に挙がっている。





