英国 廃炉で発生した再生コンクリートをSZC建設で活用へ
08 Dec 2025
英国で廃止措置が進むサイズウェルA(SZA)発電所で発生した再生コンクリートが、サイズウェルC(SZC)原子力発電所の建設工事で本格的に活用される。運営するSZC社と英国原子力廃止措置機関(NDA)が11月21日に発表した。SZAはNDAの管理下で廃止措置が進む原子力発電所で、SZCの建設サイトに隣接して立地している。両者は循環型資材の活用により、環境負荷と調達コストの双方を低減できるとして、英政府および地域当局も評価している。
再生コンクリートは、SZCの建設エリアで地盤整備に用いる下地材として使用される。SZAでは今年9月以降、WRAP(資源行動プログラム)品質プロトコルと呼ばれる再生資材の品質基準に基づき、破砕・試験・認証作業が進められており、資材は厳格な安全試験を経ている。認証後の資材はSZCのメインエリアに搬入され、輸送作業はすでに完了した。
英国政府が2025年6月に公表したSZAの解体作業の進捗によれば、NDA傘下の原子力復旧サービス(NRS、旧マグノックス社)がタービン建屋などを解体し、基礎部コンクリート破砕を実施。タービンホールや消防署、電気設備付属棟からは計1万7千トン超のコンクリートと瓦礫が撤去され、約56キロメートルのケーブルも除去されている。粉砕・加工された廃材のうち、再生コンクリート約1万5千トンがSZCで活用される。今回の取り組みは、環境庁や地方自治体の担当者が、廃棄物となる資材の有効活用をSZC側に提案したことが契機となった。また、SZAで発生したスクラップ金属約1万1千トンは契約に基づき売却され、収益は300万ポンド(約6.2億円)超となる見込みで、SZAの廃炉費用に充当される。
両サイトの連携により、①資材調達コストの抑制②距離の短縮によるCO₂排出量削減③資源循環の促進④約800台分の地域内の交通負荷軽減など、多方面で効果が得られたという。NRSのシニアプロジェクトマネージャー、W.ヒース氏は再利用により約28トンのCO₂削減につながったと説明し、「これはNRSにとって初の快挙であり、安全性、持続可能性、地域貢献の価値を体現した取り組みだ」と述べた。環境庁のS.コーブル氏も「持続可能な原子力サイトの廃止措置の好例だ」と評価し、他サイトへの展開にも意欲を示している。





