ベルギー政府 国内の原子力発電事業買収に向け協議開始
15 May 2026
ベルギー政府は4月30日、フランスの電力会社エンジー(Engie)社ならびにその傘下にあるエレクトラベル(Electrabel)社と、国内原子力発電事業の取得に向けた独占交渉に入る意向表明書(LOI)に署名した。ベルギーの全原子力発電所は、仏エンジー社が傘下企業のエレクトラベル社を通じて所有・運転している。今回のLOI署名により、ベルギー政府は、国内にある全7基を管理下に置くことで国内の原子力部門の再活性化を図る考えだ。
取得対象は、7基の全原子炉、関連する人員、すべての原子力子会社、および廃止措置および解体義務を含むすべての関連資産および負債。ベルギー政府は施設および資産について包括的なデューデリジェンスレビュー(企業買収調査)を実施し、2026年10月1日までに合意することを目標としている。交渉の結果を待つ間、ベルギーの原子力産業におけるすべての廃止措置および解体作業は一時停止される。ただし、この意向表明書は取引を成立させる法的拘束力のあるものではなく、取引の完了は最終契約の交渉および締結、ならびに必要な第三者および規制当局の承認を条件としている。
政府はこの取組みを通じて、既存炉の運転期間を延長、新規建設を実施し、エネルギー供給の安定性や気候目標の達成、産業競争力の維持に資する、持続可能な事業体制の構築を目指すとしている。
今回の政府の措置を受け、ベルギーの原子力産業団体であるベルギー原子力フォーラムのS. ドービーCEOは、「政府内の政治的決意とビジョンを示すもの。ベルギーのエネルギー供給の安定性に対する新たな前向きな展望を強固にする」と歓迎した。
ベルギーにはドール発電所に4基、チアンジュに3基、計7基の原子炉がある。現在稼働しているのはドール4号機(PWR, 108.6万kWe)とチアンジュ3号機(PWR, 108.9万kWe)の2基のみ。2003年の連邦法(脱原子力法)では、原子炉の運転期間を40年に制限。新規建設は禁止され、すべての原子炉の最終的な廃止措置が求められた。
ドール1号機と2号機は当初、運転期間が40年となる2015年に閉鎖される予定であったが、エネルギーの安定供給やCO2排出抑制の観点から、2015年6月の法律の一部改正により運転期間が10年延長された。また、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻を契機としたエネルギー不足への懸念から、ドール4号機とチアンジュ3号機の運転期間は2035年まで10年延長された。さらに、ベルギー連邦議会は2025年5月、原子力発電の段階的廃止の終了と新規建設を認める政府法案を可決、脱原子力政策は撤回されている。





