リトアニア イグナリナ発電所の炉心解体を国際入札へ
21 Jul 2026
リトアニアのイグナリナ原子力発電所(INPP)の廃止措置を進める国営企業Altraは7月8日、イグナリナ原子力発電所1-2号機(軽水冷却黒鉛減速炉: RBMK-1500×2基、各150万kWe)の炉心解体工事を対象とする国際入札を開始した。契約には、解体工法の設計、規制当局の許認可取得を支援、特殊装置の製造・供給、炉心解体作業、放射性廃棄物の管理までが含まれる。
本事業は世界で初めてRBMK-1500を完全に廃止措置する事例となり、国際的にも前例のない大規模プロジェクトとなる。Altraは2027年に請負契約者を決定し、その後、設計・許認可取得を経て本格的な炉心解体に着手する計画だ。
原子炉の中心部である炉心(R3ゾーンとも呼ばれる)は、断面が21m×21m、高さが25mの鉄筋コンクリートシャフト内に位置している。黒鉛スタックや周囲の金属構造物、および様々な充填材料(砂、砂利、砕石、スチールショットなど)で構成。2基の原子炉全体で、合計約25,500トンの資材の解体を想定している。資材の大部分は長寿命の放射性廃棄物で構成されており、解体作業は遠隔操作機器を用いて実施。解体プロセスは専門的な技術的知識を必要とし、厳格な原子力・放射線安全要件を満たさなければならない。なお、原子炉シャフトの上部構造および下部構造(それぞれR1およびR2ゾーンと呼ばれる)の解体および除染はAltra自身で実施している。
R3解体の契約額は約4億ユーロ(742億円相当)と推定。欧州復興開発銀行(EBRD)が管理するイグナリナ国際廃止措置支援基金(IIDSF)を通じて、欧州委員会(EC)が資金を提供する。入札は、EBRDの電子調達ポータル(ECEPP)を通じて2段階で行われ、第1段階では参加者が技術提案書を提出し、第2段階では価格提案書を提出する。2027年に契約が締結される見込みだ。契約発効日からプロジェクトの完了までに約16年を要すると推定されている。
同社は7月1日、発電所の管理区域内で初めて解体工事を開始すると発表した。対象は原子炉建屋ではなく、両機の気水分離機。同発電所の廃止作業の中でも最も技術的に複雑な作業の一つとされている。2024年の国際入札を通じて選定されたウェスチングハウス・エレクトリック・スウェーデンABとウェスチングハウス・エレクトリック・スペイン(S.A.U.)のコンソーシアムと原子力施設の廃止措置に実績のあるスロバキア企業ROBO Piešťanyが作業を開始する。本契約は、スウェーデン、スペイン、フランス、フィンランド、ドイツ、スロバキアの企業やコンソーシアムの参加による国際入札の結果である。
気水分離機は長さ約30m、直径約3m、両機に合計8基が設置されており、合計重量は約6,000トン。放射線管理区域内での大規模な国際共同作業の第一歩となる。今後の炉心(R3ゾーン)解体に向けて経験の蓄積が期待されている。
イグナリナ発電所は、リトアニアで稼働していた唯一の原子力発電所。1号機が1983年、2号機が1987年から稼働していたが、欧州連合(EU)は、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所と同型であるRBMKの安全性への懸念から閉鎖を要求、リトアニアはEU加盟と引き換えに同発電所を2009年までに閉鎖した。同発電所は閉鎖されるまで、リトアニアの電力の70%を供給していた。イグナリナ発電所の廃止措置は即時解体方式を採用しており、原子炉の解体は2043年までに、原子炉建屋の最終的な原状回復を含むすべての廃止措置作業は2050年までに完了を予定している。





