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インドの70万kW級国産加圧重水炉、カクラパー3号機が初臨界達成 

27 Jul 2020

カクラパー原子力発電所 ©インド原子力省

インド原子力発電公社(NPCIL)は7月22日、グジャラート州のカクラパー原子力発電所で3号機が同日の午前9時半頃、初めて臨界に達したと発表した。

同炉はNPCILが建設している4基の70万kW級国産加圧重水炉(PHWR)のなかでは最初のもので、今後は様々な試験を実施しつつ出力を徐々に上げていく予定。規制上の認可を取得して10月頃に西部地域の送電網に接続されれば、同炉はインドで23基目の商業炉となり原子力設備容量は748万kWに増加する。N.モディ首相は同炉の初臨界達成について、「メイク・イン・インディア(インドを世界の研究開発・製造ハブとすることを目指した同政権の産業政策)」の模範例であるとともに、将来達成される同様の成果のさきがけになったと称賛している。

慢性的な電力不足に悩むインドは、現在678万kWの原子力発電設備に21基(1,570万kW)の原子炉を加え、2031年までに2,248万kWに拡大する計画だと報道されている。2017年5月にインド内閣は国内原子力産業の急速な発展を促すため、マディヤ・プラデシュ州のチャットカ、ラジャスタン州のマヒ・バーンスワーラー、カルナータカ州カイガ、ハリヤナ州ゴラクプールの4サイトで合計10基の70万kW級国産PHWRを新たに建設することを決定。現時点では、カクラパー3号機も含めて合計16基の70万kW級PHWRが建設計画の実施に向けた様々な段階にあり、NPCILによればこれらに対する政府の承認も得られている。

このほか、米国や仏国など国外の原子炉ベンダーから軽水炉を導入する計画も徐々に進んでいる。ただし、実際に建設プロジェクトが順調に進展中なのはロシア企業がタミル・ナドゥ州で請け負ったクダンクラム原子力発電所のみで、ここでは1、2号機(PWR、出力各100万kW)がすでに稼働中、3、4号機(PWR、同各100万kW)が建設中、5、6号機(PWR、同各105万kW)が計画中となっている。

カクラパー3号機の本格的な建設工事は2010年11月に開始されており、今年3月半ばには燃料の初装荷作業が完了。その後、新型コロナウイルスの感染にともなうロックダウン期間中に、感染防止ガイドラインに沿って多くの試験や手続が行われていた。NPCILによると同炉はインドのエンジニアや科学者が設計した国産PHWRで、原子炉の機器・設備を国内の原子力産業界が製造したほか、建設工事も国内の様々な契約企業が実施した。安全性や品質については世界でも最高レベルの基準を満たしており、内側を鋼鉄で裏打ちした格納容器や受動的な崩壊熱除去システム、水素ガス管理システムなどの先進的な安全機器が導入されている。

(参照資料:NPCILの発表資料(ヒンディー語、英語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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