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英計画審査庁、ホライズン社の意向受け新設計画へのDCO発給の可否判断を年末まで延期 

05 Oct 2020

D.ホーソーンCEO ©Horizon Nuclear Power

英ウェールズ地方のアングルシー島に、135万kWの英国版ABWRを2基建設するウィルヴァ・ニューウィッド原子力発電所建設計画に対する「開発合意書(DCO)」発給の可否判断が、今年の12月末日に延期となった。これは英コミュニティ・地方自治省の政策執行機関である計画審査庁(PI)が9月30日に明らかにしたもので、当初予定では、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)によるDCOの判断は9月末とされていた。

DCOは国家的重要度の高いインフラ・プロジェクトに取得が義務付けられている主要認可で、ウィルヴァ・ニューウィッド計画については日立製作所の子会社で同計画のデベロッパーであるホライズン・ニュークリア・パワー社が2018年6月、審査の実施機関であるPIに申請書を提出。PIは同計画が英国政府の要件を満たしているか判定した上でPIとしての見解をBEISに勧告、BEISの大臣がDCO発給の可否について最終判断を下すことになっている。

しかし、日立製作所が9月16日に同計画から撤退する意向を表明したことから、ホライズン社のD.ホーソーンCEOは同月22日と28日の2回にわたりBEIS大臣に書簡を送付、発給の可否判断を3か月間延期するよう要請した。日立の撤退表明以降、同社はウィルヴァ・ニューウィッド計画の行く末に関心を持つ複数の第三者と協議中だが、この協議は今のところ初期段階にある。このため、同計画の確かな将来を保証するオプションについて、建設的に確定するための時間を取りたいと述べた。

同社としては、英国がエネルギー需要を満たしつつ地球温暖化の防止目標を達成し、クリーン・エネルギー関係の雇用を創出して経済のレベルアップを図るには、原子力発電所が重要な役割を担うと認識。DCOの発給判断が先送りされれば、同社と第三者は日立製作所が不在の中でもウィルヴァ・ニューウィッド計画を前に進められるか否か、あるいは進める場合の方法等についても判断を下すことができる。商業的に機微な協議なため詳細を伝えることは出来ないが、今後数か月の間に同CEOと関係チームは肯定的な結論を出せるよう努力するとしている。

これに対して、BEISのA.シャルマ大臣は9月30日付けで同CEOに返信を送付。DCO判断の締め切り日を年末まで先送りすることは妥当とした上で、2008年の計画法に基づき、新たな締め切り日を確認する大臣声明を出来るだけ早急に書面で議会の下院と上院に送ると述べた。ただし、同大臣としては11月30日までにその後の経過に関する情報が新たに必要だと強調。年末に最終判断を下す前に、十分考慮する時間を取りたいとしている。

(参照資料:計画審査庁の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月1日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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