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ロシア企業、フィンランドの新設計画に必要な設計書類を顧客に提出

22 Dec 2020

現在のハンヒキビ発電所建設サイト©Fennovoima

フィンランド西部のピュハヨキで、ハンヒキビ原子力発電所1号機(120万kWのロシア型PWR)の建設工事を請け負ったロシアの原子力総合企業ロスアトム社は12月21日、同計画の建設許可申請審査に必要な設計書類の一部を顧客のフェンノボイマ社に手渡したと発表した。

フェンノボイマ社は2015年6月に同計画の建設許可を経済雇用省に申請しており、現在はこの申請書をフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)が審査中。今回の書類は、同審査で主要な部分を構成する予備的安全解析報告書(PSAR)をフェンノボイマ社が作成する際、基盤の書類として使われる。

フェンノボイマ社は、審査用の書類をSTUKに提出する前に毎回、同社の専門家による「独自のレビュー」をそれらの書類について行っている。同社がこのような手順を踏むのは、建設許可段階でSTUKが他の国よりも詳細な書類を要求しているためで、これによりその後の建設段階で作業が遅れるのを防ぐことができるとしている。

特にPSARは建設計画の安全性全般に関して詳細に記述した書類で、発電所のサイト選定や基本設計、技術的な問題点の解決策、安全対策などを網羅。フェンノボイマ社はPSARの作成に向けた基本設計レビューを2019年の夏に開始しており、これまでにロスアトム社傘下のサプライヤーであるRAOSプロジェクト社とともに安全性に関わる数多くの課題を解決してきた。第2段階まで続く同レビューを通じて残りの課題を解決し、着工後に設計変更するリスクを最小限に抑える方針である。

PSARを構成する15書類のうち、フェンノボイマ社はすでに5書類をレビューしてSTUKに提出済み。同社が今回RAOS社から受け取った文書は、発電所やシステムの概念設計と機能設計、発電所の3Dモデルなどで、これらは基本設計レビューの第1段階に使用される。同社は年末までにPSARの作成に必要な書類をあと2種類RAOS社から受け取る予定だが、PSARが最終的に完成するのは2021年の春になる見込みである。

なお、同発電所建設サイトでは今年の夏、建設許可の取得に先立ちフェンノボイマ社が管理棟の建設工事を開始した。建設に入る前段階の準備作業で従業員数が急増したことや、事務スペースの確保が必要になったことによるもので、建設工事はフィンランドのレヒト・グループが担当。同棟が完成するのは2022年の初頭、ハンヒキビ1号機が営業運転を開始するのは2028年になると見られている。

 (参照資料:ロスアトム社フェンノボイマ社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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