ロシア企業が中国・徐大堡3号機の機器製造を開始
16 Feb 2021
©AEM-Technology
ロシアの原子炉機器製造企業のアトムエネルゴマシ(AEM)グループは2月12日、中国の遼寧省で中国核工業集団公司(CNNC)が建設を計画している徐大堡原子力発電所の3号機用主要機器の製造をロシアで開始したと発表した。
同発電所のⅡ期工事となる3、4号機の建設工事については、2019年6月にロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が請け負うことが決定。この時、同社傘下の原子力発電所建設・輸出企業であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社が、CNNCと一括請負契約を締結した。
3、4号機の設計は第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER)を採用することになっており、CNNCは今年10月に3号機を、2022年8月に4号機を本格着工し、その後はそれぞれ、2027年と2028年の完成を目指すとしている。
徐大堡発電所の建設計画では2006年当時、100万kW級PWRを最終的に6基建設することが計画されており、国家発展改革委員会は2011年1月、Ⅰ期工事の1、2号機について事前作業の実施を許可した。これを受けて基礎掘削の前段階の起工式が行われたものの、同年3月に福島第一原子力発電所事故が発生したため、政府は計画を一時凍結。2014年4月に国家核安全局(NNSA)から同計画のサイト承認が発給され、2016年10月に両炉の原子炉建屋の土木建築契約が結ばれた折は、100万kW級のウェスチングハウス社製AP1000を2基建設すると伝えられたが、これらは今のところ未着工である。
今回、3号機の機器製造を開始したアトムエネルゴマシ・グループはロスアトム社のエンジニアリング部門で、実際の作業は傘下のAEMテクノロジー社のボルゴドンスク支部であるアトムマシ社が行っている。AEMテクノロジー社が中国の建設プロジェクト用に主要機器を供給するのは2件目で、今回の契約内容は2基の120万kW級VVERについて、蒸気発生器と冷却材ポンプ、加圧器などを製造・納入すること。これら機器の総重量は、合計6,000トンに達する。
発表によると、現時点では1基あたり4台設置する蒸気発生器の胴部と原子炉容器のシェル部分について点検が完了し、機器製造作業が始まったところ。原子炉容器シェルの重さは92トンあるが、ノズル部分の機械加工は15日ほどかけて行われる。これと同時に、炉心に耐食性の覆いをかける準備も進展中で、1台あたり37トンの重さがある蒸気発生器・胴部の機械加工は6日間で仕上げるとしている。
(参照資料:アトムエネルゴマシ・グループの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)