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スペイン規制当局、コフレンテス原子力発電所の運転期間延長を承認

22 Feb 2021

コフレンテス原子力発電所 ©CSN

スペイン原子力安全委員会(CSN)は2月17日、同国最大の原子力発電設備で1984年8月に送電開始したコフレンテス発電所(109.2万kWのBWR)の運転期間を、2030年11月末まで9年半延長することを承認したと発表した。

これにより、同発電所の運転期間は2024年時点で運転開始後40年が経過し、それ以降はいわゆる「長期運転(LTO)」期間に入る。CSNの今回の裁定は今後、環境移行・人口問題省に送られ、「原子力および放射線取扱い施設に関する規制(RINR)」に基づいて最終審査を受けることになる。

スペインではTMIとチェルノブイリ両原子力発電所で事故の発生後、脱原子力政策によって新規原子炉の建設を禁止している。しかし、脱原子力の達成時期については明確に定めておらず、スペイン議会は2011年2月、CO2排出量を抑制するため、原子力発電所に課していた最大40年という運転期間の制限規定を撤廃。稼働中の商業炉(当時、合計8基)の運転期間は、規制当局などの助言に従い、政府が様々な条件を勘案して決定していくことになった。

また、スペイン政府は2020年1月、欧州委員会の政策に基づき「2021年~2030年までの統合国家エネルギー・気候変動対策プラン(INECP)」を作成した。その中で、CO2排出量を2030年までに(1990年比で)少なくとも20%削減するとの目標値を設定しており、「商業炉を運転開始後40年で閉鎖するとなると、2030年を待たずにそのすべてが閉鎖され、CO2の20%削減は不可能になる」と指摘。理想的な条件の下で整然と脱原子力を進めるにはまだ十分時間があるため、現在稼働する7基のうち4基までを2030年までに段階的に閉鎖する一方、残り3基(約300万kW分)については2035年末までに閉鎖していくとの方針を明記している。

CSNはコフレンテス発電所の運転継続裁定について、「同発電所の的確な運転状況や、安全レベルが適切に維持されているか等を確認して下した」と説明。発電所を所有・運転するイベルドローラ社の(CSN要件に対する)適切な対応も考慮に入れており、10年に一度の大掛かりな定期安全審査で指摘された課題に対し、同社が提案した様々な安全性改善対策が確認されたとしている。

なお、CSNはこのほか、アルマラス原子力発電所についても運転期間延長を承認すると2020年5月に発表。1981年に送電開始した1号機(104.9万kWのPWR)は2027年11月1日まで合計46年間、1983年に送電開始した2号機(104.4万kWのPWR)については2028年10月末まで45年間運転することを許可した。また、2020年6月には(1987年に送電開始した)バンデリョスII原子力発電所(108.7万kWのPWR)の運転を2030年7月まで10年間追加で継続することを承認。同発電所の合計運転期間は43年間に達する見通しである。

(参照資料:CSNの発表資料(スペイン語)、スペインのINECP、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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