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仏国の90万kW級原子炉32基、50年間運転継続する見通し

26 Feb 2021

サンローラン・デゾーB原子力発電所©EDF

仏国の原子力安全規制当局(ASN)は2月25日、国内で1980年代前半に運転開始した32基の90万kW級PWRがそれぞれ40年稼働した後、追加で10年稼働させる際の諸条件を23日付で決定したと発表した。事業者であるフランス電力(EDF)が提案したすべての対策によって、これらの原子炉で運転開始後50年間、運転を継続させる見通しが立ったとASNは説明している。

仏国では商業炉の稼働にあたり政府はASNに諮問して認可を発給しているが、運転期間に制限がなく、運転開始後10年毎に詳細な安全審査を実施して、次の10年間の運転継続で課題となる設備上のリスクや対応策等を評価している。

今回対象となっている90万kW級PWRは、ルブレイエ発電所の4基、ビュジェイ発電所の4基、シノンB発電所の4基、クリュアス発電所の4基、ダンピエール発電所の4基、グラブリーヌ発電所の6基、サンローラン・デゾーB発電所の2基、およびトリカスタン発電所の4基。仏国内では最も古い部類に属することから、これらで2031年までに実施が予定されている4回目の安全審査では、設計時に想定した40年という期間を超えて運転を継続するには設計面の調査や、機器の取り換え等が重要となるとASNは述べた。

今回の決定(2021-DC-0706)の中でASNは、仏国内の商業炉58基すべてを保有・運転するEDFに対し、EDFが自ら提案していた大規模な安全性向上工事や追加対策を実行に移すよう指示。これには格納容器のベントや炉心溶融物質による溶け抜け防止など、炉心溶融事故時におけるリスク軽減のほか、発電所内外からこれまで想定してきた以上に激しい攻撃を受ける場合の対策、事故時の放射性物質の放出量抑制、事故等の厳しい環境下における使用済燃料貯蔵プールの管理などが含まれるとしている。

10年に一度の安全審査では、対象原子炉すべてに共通する事項の「包括的審査」に加えて、「それぞれの原子炉に特有の設備の審査」が行われるが、今回ASNが決定した要件は原子炉毎に適用される予定である。90万kW級PWRの4回目の安全審査に向けた「包括的調査」の一環として、EDFは2018年9月から2019年3月までの期間、「原子力安全情報・透明性高等委員会(HCTISN)」の支援を受けながら共通対策に関するパブリックコメントを募集。また、その結果を踏まえた決定事項の案文についても、ASNは2020年12月から今年1月にかけてパブリックコメントに付して、要件の修正や明確化を行っている。

(参照資料:ASNの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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