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米NASA、深宇宙探査用の核熱推進システム開発で3社を選定

15 Jul 2021

NTPシステムを使った宇宙探査機の一例©NASA

米エネルギー省(DOE)と共同で、深宇宙探査用核熱推進(NTP)技術の開発を進めているアメリカ航空宇宙局(NASA)は7月13日、有望な原子炉技術の詳細な設計概念と価格に関する「提案募集(REF)」に応じた企業の中から3社を選定したと発表した。

いずれも、原子燃料や機器・サービスのサプライヤーで、すでにNASAと協力関係にあるBWXテクノロジーズ(BWXT)社、防衛等の多角的な技術製品企業であるジェネラル・アトミクス・エレクトロマグネティック・システムズ(GA-EMS)社、およびエネルギー関係のハードウェアとサービスを提供するウルトラ・セーフ・ニュークリア・テクノロジーズ(USNC-Tech)社である。

今回のREFは、DOE傘下のアイダホ国立研究所(INL)を管理・運営するバッテル・エナジー・アライアンス(BEA)社が、NASAの2021会計年度予算を使って今年2月中旬から4月末まで実施した。INLは今後、選定した3社それぞれと約500万ドル相当の契約を締結。将来的に、深宇宙探査の特定の性能要件を満たすための様々な設計戦略を立てるほか、このようなミッションに利用可能な原子炉の設計概念を12か月の契約期間に完成させる。契約の終了時、INLはそれらの設計概念についてレビューを実施し、NASAに勧告事項を提示。NASAはこのような情報を活用して、将来開発する技術設計の基盤を構築することになる。

NASAによれば、核熱推進システムの推進効率は化学燃料ロケットと比べて非常に大きい。このため、火星の有人探査や貨物ミッション、および太陽系外縁部の科学ミッション用として有望な核熱推進技術を開発できれば、数多くのミッションを一層迅速かつ安定した形で実施することができる。今回の3社が開発に関わる小型モジュール炉(SMR)は、そのような核熱エンジンの重要機器であり、HALEU燃料(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)を使用する予定である。

3社のうち、BWXT社はNASAとの今回の契約実行に際し、航空機・宇宙船の開発製造企業ロッキード・マーチン社と提携する方針。また、GA-EMS社は、小型のペブルベッド式高温ガス炉「Xe-100」を開発中のXエナジー社、およびロケットやミサイルの推進器を製造しているエアロジェット・ロケットダイン社と提携する。

USNC-Tech社は、親会社で第4世代の小型高温ガス炉「マイクロ・モジュラー・リアクター(MMR)」を開発中のUSNC社と連携体制を取るほか、ブルーオリジン社(=アマゾン社の創業者J.ベゾス氏が創設した宇宙ベンチャー企業)、GE日立・ニュクリアエナジー社とGEリサーチ社、フラマトム社、高機能合金材料メーカーのマテリオン社と提携するとしている。

(参照資料:NASAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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