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ブラジル、アングラ3号機の工事再開に向け土木建築業者を選定 

29 Jul 2021

アングラ原子力発電所©Eletronuclear

ブラジル原子力発電公社(Eletronuclear)は7月23日、建設工事が2015年に停止したアングラ原子力発電所3号機(PWR、140.5万kW)の作業再開に向け、今年2月に募集した土木建築契約の入札結果を公表した。

この入札は国内企業を対象にしており、複数回の入札手続きを経て、原子力発電公社は最終的に建築エンジニアリング企業のFerreira Guedes社と電気機器企業のMatrical and ADtranz社で構成される企業連合を選定した。2億9,200万レアル(約62億6,000万円)で土木建築工事の準備作業と一部の電気機器の組み立て作業を委託する計画。同公社がEPC(設計・調達・建設)契約企業を選定するのに先立ち、原子炉建屋のコンクリート製上部構造物やスチール製の格納構造物を完成させるほか、使用済燃料の貯蔵プールなどを建設するとしている。

同公社によると、1984年に始まったアングラ3号機の建設工事はこれまでに、景気の後退や関係する汚職調査等により2回作業が停止したため、現在の建設進捗率は65%である。今回入札した作業項目は、同公社がアングラ3号機用に設定した「完成に至る最適経路の加速計画」に沿ったもの。所轄官庁から落札企業としての承認を受けた後、同企業連合は10日以内に原子力発電公社と正式契約を交わすことになっており、同公社としては今年中にも残りの建設工事を再開したい考え。2026年11月に同機の運転開始を見込んでいる。

このほか、アングラ3号機の建設再開・完成計画に関しては、ブラジル国立社会経済開発銀行(BNDES)が今年6月、「アングラ・ユーロブラスNES企業連合」を雇用する契約を締結した。同機の建設と運転・保守について、法制面や経済面で民間部門と協力していくモデルを構築するため、BNDESが入札を通じて同連合を選定したもの。これは2019年以降、BNDESが原子力発電公社に提供している技術支援サービスの一環。また、アングラ3号機の建設再開と完成に向けて、同企業連合はプロジェクトの再構成を担うとともに、EPC契約企業の候補会社も勧告することになる。

構成メンバーは、ベルギーのエンジニアリング・サービス企業であるトラクテベル・エンジニアリング社と同社のブラジル支部、およびスペインのエンジニアリング企業のEmpresarios Agrupados Internaciolal SA。これらの企業は、複数の国で原子力発電所関係の様々な経験と実績を積んでいることから、ブラジルにおいても一流の建設パートナーや資金調達の支援機関を幅広く呼び込むことができるとBNDESは指摘している。

(参照資料:ブラジル原子力発電公社BNDESの発表資料(ポルトガル語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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