原子力産業新聞

海外NEWS

米FPL社、セントルーシー原子力発電所で2回目の運転期間延長を申請

17 Aug 2021

セントルーシー原子力発電所©FPL

米原子力規制委員会(NRC)は8月16日、フロリダ・パワー&ライト(FPL)社が保有・運転中のセントルーシー原子力発電所1、2号機(各PWR、約88万kW)について、2回目の運転期間延長を申請したと連邦官報に掲載した。

1、2号機はそれぞれ1976年と1983年に送電開始しており、FPL社はこれらで当初認められていた運転期間の40年が満了する10年以上前(2001年)に、初回の運転期間延長(20年)を申請した。NRCは2003年10月に同申請を承認し、両機の現行の運転認可は2036年3月と2043年4月まで有効である。今回、2回目の20年延長が認められれば、運転開始以降の両機の累計運転期間はそれぞれ80年となり、1号機は2056年3月まで、2号機は2063年4月まで稼働が可能になる。なお米国での運転期間=40年は、技術的な制限ではなく、経済面および減価償却の観点に基づいている。

NRCの発表によると、FPL社が今回の申請書を提出したのは8月3日で、NRCは現在、この申請書に漏れなどの不備がないかを点検中。運転期間の延長にともなう両機の安全性や環境影響面について、審査の実施に十分な情報が含まれていた場合、NRCは申請書を受理した上で、付属の行政判事組織である原子力安全許認可会議(ASLB)に公聴会の開催を要請することになる。

米国では約100基の商業炉のうち、90基以上がこれまでに初回の運転期間延長を認められており、1基につき合計60年の稼働が一般的となっている。FPL社は2018年1月、米国の原子力発電事業者として初めて、2回目の運転期間延長をターキーポイント3、4号機(各PWR、76万kW)で申請。NRCは2019年12月にこれを承認しており、両機はそれぞれ80年間の稼働が許された全米初の商業炉になった。

これを皮切りに、米国の原子力産業界では2回目の運転期間延長を模索する動きが相次いでいる。ターキーポイント3、4号機に続いて、エクセロン社のピーチボトム2、3号機(各BWR、118.2万kW)とドミニオン・エナジー社のサリー1、2号機(各PWR、87.5万kW)はすでに、80年間継続運転するための承認をNRCから獲得した。NRCは現在、同じくドミニオン社のノースアナ1、2号機(各PWR、約99万kW)と、ネクストエラ・エナジー社のポイントビーチ1、2号機(各PWR、64万kW)、およびデューク・エナジー社のオコニー1~3号機(各PWR、約90万kW)について、同様の申請を審査中である。

また、テネシー峡谷開発公社(TVA)はブラウンズフェリー原子力発電所1~3号機(各BWR、116万kW)の2回目の運転期間延長に向け、正式申請前の手続きを開始した。エクセル・エナジー社も、ミネソタ州のモンティセロ原子力発電所(BWR、60万kW)が2030年に60年間の運転を終えた後、少なくとも2040年まで10年間、運転を継続したいと述べている。

(参照資料:米規制委の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

cooperation