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米ニュースケール社、SMRの建設でポーランドの銅採掘企業らと覚書 

24 Sep 2021

3社による覚書の調印式©KGHM Polska Miedz SA

米国のニュースケール・パワー社は9月23日、同社製小型モジュール炉(SMR)をポーランドで建設し商業化への道を模索するため、同国国営のKGHMポーランド銅採掘(KGHM)会社、およびコンサルティング企業のPielaビジネス・エンジニアリング(PBE)社と協力覚書を締結した。

KGHM社はポーランド南西部にある欧州最大規模の銅鉱床で採掘を行っているほか、モリブデンやパラジウム、ニッケルなどの金属も生産している。これらの事業に必要な電力や熱エネルギーは石炭火力発電所から得ているが、2030年末までに必要なエネルギーの約半分を自社製で賄う方針。これには、再生可能エネルギー源やSMRが生産するクリーンエネルギーが含まれる。太陽光や海上風力による発電システムの設置プロジェクトはすでに進行中で、今回はこのエネルギーミックスにSMRを加えることになったもの。

もう一方のPBE社は、主にポーランドのエネルギー部門や化学部門の企業に対して、運営・戦略や規制、エンジニアリング関係の助言を提供している。政府が進める地球温暖化対応やエネルギーの移行計画にも関与しており、政府機関や金融機関、規制当局などに関連するサービスを提供中。2009年以降は、ポーランドの原子力発電導入プログラムにも同社の専門家が携わっている。

ニュースケール社の発表によると、KGHM社とPBE社は今回の覚書でニュースケール社の支援を受け、同社製SMRの導入計画および高経年化した既存の石炭火力発電所を別用途に活用できるか検証する。具体的には、SMR建設計画の技術面や経済面に加えて、法制面、規制面、財政面などを詳細に分析するとしている。

ニュースケール社が開発したSMRはPWRタイプの一体型SMR「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」で、電気出力5万kW~7.7万kWのモジュールを最大12基まで連結して出力規模を決められる。米国の原子力規制委員会(NRC)は2020年9月にモジュール1基あたりの出力が5万kWのNPMに対し、SMRとしては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給。同社は出力7.7万kW版モジュールの「NuScale NPM-20」についても、SDAを2022年第4四半期に申請する予定である。

KGHM社がポーランドで建設するSMRは「NuScale NPM-20」と見られており、同社は差し当たりモジュールを4基連結する計画。オプションで12基連結した場合の出力は、100万kW近くに拡大する。同社のM.クルジンスキー社長は、「地球温暖化を食い止めるには断固たる行動が必要だ」と指摘。その上で、「2030年までにSMRを建設するという計画は、エネルギー移行計画の一部であるとともに当社の堅い決意でもある。当社は早ければ2029年にも最初のSMRの運転を開始して、ポーランドにおけるSMR建設のパイオニアになる方針だ」と述べた。

同社長によると、SMRは同社が環境に配慮して事業を行う一助となるだけでなく、事業運営費を大幅に削減できる。同社はポーランドがグリーンなエネルギーに移行できるよう、SMRでエネルギーを商業的に生産し、一般家庭の電気代の削減にも貢献する。

PBE社の創設者であるP.ピエラ氏は、「ポーランドおよび化石燃料に依存するその他のEU諸国がエネルギーの移行を進める上で、モジュール式のエネルギー源はとりわけ重要な役割を担う」と指摘。「汎欧州グリーン・ディールを成功させる上でも、共通の利益を生む重要なエネルギー技術だ」と強調した。

なお、ニュースケール社は同じ日、米オクラホマ州を本拠地とする石油・天然ガスの供給企業Getkaグループ、およびポーランドで電力やガスなど複数のエネルギーを供給するUNIMOT社とも、同様にポーランドでの同社製SMRの建設に向けてこれら3社が協力するための覚書を締結している。

(参照資料:ニュースケール社KGHM社(ポーランド語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月23日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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