原子力産業新聞

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FNCA大臣級会合がタイで開幕

28 Nov 2023

原子力委員会が主導する原子力平和利用の枠組み「アジア原子力協力フォーラム」(FNCA)の大臣級会合が11月28日(日本時間)、タイ・バンコクで開幕した。

FNCAは、1999年に日本、オーストラリア、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの9か国で発足。その後、徐々に参加国が拡大し、現在はバングラデシュ、カザフスタン、モンゴルを加え、計12か国が参加。毎年、行われる大臣級会合は、日本と他の参加国と、交互で開催されるのが通例となっており、今回のタイでの開催は、2000年の初会合以来、23年ぶりとなる。

開会宣言に立ったタイのペルムスーク・スッチャピワート高等教育・科学・研究・イノベーション事務次官は、「原子力科学技術の平和的利用は多くの国々の発展にとって不可欠のもの。その適切な活用は多くの利益をもたらし、大きな成果をもたらす」と強調。さらに、FNCA傘下で実施される放射線利用を中心としたプロジェクト活動にも関連し、「貧困と飢餓の撲滅、エネルギー安定供給の確保、気候変動への対応、水資源の管理、人々の健康増進」と、その成果を列挙。また、戦乱が絶えない昨今の世界情勢を憂慮し、「異なる意見も排除しないバランスある議論を」とも述べ、有意義な会合となるよう期待した。

続いて、原子力委員会の上坂充委員長が、国会対応のため出席がかなわなかった高市早苗内閣府科学技術担当相の挨拶を代読。その中で、高市大臣は、カーボンニュートラル社会の早期実現に向けた原子力の役割と責任に言及するとともに、「新しい多様な人材が幅広く活躍できる場となる可能性を秘めている」などと述べ、FNCA活動を通じてアジア地域の持続的発展に期待を寄せた。

今回のFNCA大臣級会合では、シンガポールが初めてオブザーバー参加。同国の代表者は、原子力技術に関し、放射線治療分野での利用が主となっている国内の現状を述べた上で、将来の気候変動対策における有用性、安全確保の重要性にも言及し、「参加各国から学びさらに知識を深めていきたい」と意欲を示した。

セッションでは、円卓討議「人間の健康と医療福祉における原子力科学の貢献」を通じた議論、国別報告「カントリーレポート」の発表が行われ、28日晩(日本時間)に共同コミュニケが採択される運び。

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